2010年4月13日

大切な干潟。



 空はどんよりとしているが、雨はふりそうもない気配。なのに我らはレインスーツ姿で有明湾沿いを走っている。よくよく見ると、カミさんの手先は防寒グローブ、この季節に。・・・やはり寒いから。




 有明湾に面した有明スポーツ公園で小休止。今日は大潮、しかも干潮時間なので、干潟は、はるか水平線まで広がっている。有明湾の潮位(水位)は最大5〜6メートルもあり、それは日本最大級なのだ。
 目の前の砂浜、いやいや泥の干潟には、小さなカニやらヤドカリやらがチョコマカと動いている。そして20メートルほど前方の沖(泥地)に、なにやら細長い生物が歩いているではないか。もしかしたら?・・・デジカメの望遠ズームでパチリと撮り、そのモニター画像を拡大してゆくと、、、「ムツゴロウだぁ!」
 実際の姿を見るのは初めてのこと。しかもすぐそこで多くのムツゴロウがヨチヨチと歩いている(泳いでない)。これにはちょっと感動。


細長い物体は全てムツゴロウ。




国道207号線を有明湾に沿ってずぅ〜っと走る。

 干潟は海を浄化する役目を持っている。しかし有明湾の水質は年々悪化していると聞く。それにともない湾の魚介類は減っている。ムツゴロウやカニたちの将来は大丈夫なのだろうか・・・と、ちょっと真面目に考えてみたりする。そんな干潟の風景を、そしてムツゴロウたちを見たいなら、干潮時を狙うべし。(※但しムツゴロウは、5月中旬〜6月末頃の産卵期は沖に出ていってしまうらしい)

 さて腹が減ってきたしシリも痛くなってきた(XR230の筆者)。道の駅“太良”で昼飯としよう。



道の駅“太良”、有明湾の定食。

大ざっぱな作りの入り口。


竹崎ガニ:有明湾名産。1匹2千円〜と贅沢なので食ってない。 食堂〜ってな感じ。
カミさんはカキフライ定食。 筆者はアナゴ天ぷら定食。 +ムツゴロウの蒲焼。


白いかもめ:JR九州の885系振り子式(カーブで車体を傾斜させて通過)。グッドデザイン賞に輝く、粋な特急電車である。博多〜長崎間運行。
(道の駅 太良の駐車場にて)



 道の駅の有明湾の定食、、、カキとアナゴは私の大好物だから、その味にはうるさい。申し訳ないが私の評価はかなりきびしい点数になるだろう。そしてムツゴロウ、、、う〜ん・・・???









有明湾に沿って、西へ。








長崎本線の普通電車通過。この形式にたいして興味はないので、解説省略。





筆者のシリ休め休憩。
太陽が少し出てきたのにまだカッパ姿。もういいかげんに脱いだらいいのでは・・・?




寄り道で湾を横断。



 国道207号線で諫早(いさはや)市を経由して、そのままストレートに長崎市に向かう予定だった。しかし諫早に近づくと有明湾(このあたりは諫早湾ともいう)を遮断するように一直線な防波堤が見えてくる。これが、かの有名な“諫早 潮受け堤防”である。ここに来るまでは堤防上に道路があるなんて知らなかった。ちょっと寄り道になるが走ってみようではないか。
 この堤防は、テレビニュースにもたびたび登場する。一般的にはこの堤防ができたために、有明湾の水質悪化が進んでいるのだと聞くが、たしかに浄化作用のある干潟を消滅させてしまったのだから、私とてそう思う。



諫早 潮受け堤防にて。




北側の堤防入り口。ここと南側に水門がある。

やっとカッパを脱いだカミさんである。

中央部、約5キロのド直線。
両手放しでカメラかまえてんだ、
しっかりまっすぐ走ってくれよ、XR!


両手放しのうえ、後ろに振り返って撮っているのだ。頼むからまっすぐ走ってくれ、XR!



 全長7キロの潮受け堤防の上を走りながら思った。ムツゴロウたち、この先も元気でいられるだろうかと。そしてもうひとつ。ムツゴロウの蒲焼、食わなきゃよかったかな〜、と。
 なおこの潮受け堤防、今年(2010年)4月末のニュースによれば、近いうちに長期開門調査を行うと政府が発表した。開門後の状況が気になるところだ。

 「シリが痛って〜」。熊本から約200キロ、XRにず〜っと乗ってきた私は限界に近づいた。長崎市内まで、あと30キロというところで、カミさんのCB1100と交換する。


 CB1100にまたがった瞬間、その座り心地に幸せを感じる。走り出せば頼もしさを、そして曲がれば安定感を。なんということだ、まるで軽トラから、3リッタースポーツサルーンカーに乗り換えた感じだ。
 まあ、こんな試乗比較に意味はない。高速道路を含めた長距離ツーリングでどちらが優れているかなんて、そんなことは猿でもわかるというものだ。XRにはXRの良さってもんもある。もし、狭く急カーブ連続のワインディングなら、XRはぜったい有利なのだから。
 ・・・それにしても、、、お借りしたお礼に宣伝するわけじゃないが、よくできたバイクだな、CB1100は。正直に言ってしまえば、「これほしい!」っす。カラーは、借用したホワイトもいいけど、ワインレッドだな、、、ビキニカウルは付けよう。そしてリアサスはノーマルでも十分だけど、やはり換えよう。おっと忘れちゃいけないのがマフラーを換えてより軽くしよう。どのメーカーのがいいかな・・・まだ注文してもいないのに、悩みながら走っているわけです。(カミさんも気に入ってはいるけれど、なかなか首をタテに振らない)

 快適な走行で、いつのまにやら長崎市内に入っている。出迎えてくれたように現れたのは路面電車。そう、その長崎電気軌道のことは、まあご迷惑でしょうが、またあとでたっぷりご案内しよう。


ベストウェスタンプレミアホテル長崎(長い!)の高〜い天井の広〜いロビー。



広い部屋。その窓からの眺め、筆者にとってはスペシャル。
 今夜の宿、いや連泊する“ベストウェスタンプレミアホテル長崎”に到着。バイクを有料地下駐車場に止めてロビーに上がると、まあなんと豪華なこと。高級なホテルなんだな、ここは。
 とはいえ旅慣れた我らが正規料金(一泊朝食付一人最低1万5千円から25万円)で連泊するわけがない。ホテルのサイトにはたいていあるんですな、数室限定で格安宿泊というのが。
 さてチェックイン。するとカウンターのホテルマンが「お客様、割り増し料金でグレードアップルームをご用意できますが、いかがでしょうか?」と言う。いらねぇ〜よっ、と思いながらも、つい「電車がよく見える部屋なんかあればね」な〜んて口を滑らせてしまった。ホテルマンはニコッとして「ございますお客様、長崎本線も路面電車も、よ〜く見える部屋がぁ」「ほんと〜、じゃあそれで」
 ・・・ということで一泊朝食付一人8,250円となったが、それでも都会のビジネスホテルと変わらぬ料金で、比較しようもない豪華さである。
 窓のカーテンを開けると、長崎の街並みが望める。長崎駅のホームや車両基地、そして路面電車も。そしてそれらが走る通過音もなんとか聞こえる。ここは特等室だぁ〜、と感激するも、カミさんは無感情。


部屋の窓からの眺め。

 エグゼクティブルーム客専用の豪華なラウンジで、コーヒーとクッキーなんぞを頂く(無料:正規料金の客じゃあないので、なんか申し訳ないような)。さ〜て、そろそろ居酒屋タイムである。 

※すみません。次のページ、たぶんバイクが出てきません。


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