2010年4月13日

長崎電気軌道に乗って。

 前ページで予告したように、この第四話にバイクはまったく登場しない。居酒屋へと向かうのだから当然のことだろう。なお、バイクに代わってこのページには路面電車が数多く露出するが、あまり気にしないでほしい。筆者の趣味をちょこっとご案内しているまでのことだから。
 ホテルの前の駅から電車に乗る。しかしまだどこの居酒屋に行くかは決めていないので、熊本の時と同様に、あらかじめネットでプリントした10軒分ほどの居酒屋セレクト用紙をバッグに入れて車内で選ぼう・・・と思うのだが、運転手後ろで前面車窓を愉しんでいるだけ。
 夕方で渋滞ぎみのクルマの列を尻目に、ガタコトと走る路面電車。これは便利だ。しかも120円の均一料金で、たっぷり愉しめる。




前の電車に追いついてしまうほど、頻繁に走っている。




「次は“出島”〜」なんてアナウンスに、思わず降りてしまう。




これが出島?



 出島は江戸幕府の鎖国政策によってできた人口の島・・・というのは中学の授業で習った。そしてその教科書に載っていたイラストだか写真だかは、確かに島であったと記憶している。だがしかし、湾曲している塀にその面影は残るものの、本来、海であるはずのその外側はビルが建ち並んでいる。あの授業で習った扇形の出島とはずいぶんと違うものだ。まあ、せっかく来たのだからと、復元された出島の中へ。
 入場券を買おうとすると、「お客さん、あと15分で閉館しますけどいいですかぁ?」って。そう言われても仕方がないが、たいして広くない敷地だ、15分もあれば十分かな。(これが鉄道博物館とかだったら気絶するほどのショックを受けるだろう)



出島の15分。








出島、おしまい。。。

龍馬はブーツを履いていた。もし龍馬がこの時代に、頑丈な21オンスジーンズの存在を知っていたら、きっとブーツと共に愛用したにちがいない・・・という意図でカミさんに撮らせたのだが、ピントがちょっと合わず。
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 長崎駅周辺にも居酒屋はあるのだが、それではホテルから近すぎて路面電車にちゃんと乗れないので、長崎の代表的な繁華街である“思案橋(しあんばし)”に向かったのである。
 路面電車に乗ってゆきたいところだが、それが走っている姿を眺めるのもまたよしで、出島から思案橋まで10分ほど歩くことに。



思案橋駅。




長崎、思案橋の居酒屋。

 午後に長崎の街に着いた時、いや近づいた時から脳裏にクールファイブの“長崎は今日も雨だった”がず〜っと流れっぱなしだった。あの「ワワワワァ〜〜〜♪」である。
 もう何年前だったかな。クールファイブの前川清さんにすごく似たお客さんが革ジャン買ってくれて、あっ、モノまね番組の顔そっくりコーナーにこの人出られるなあ、なんて思いながらにアフターサービスカードに氏名記載をお願いしたら“前川清”と書きなすった。まさかと思うがしゃべり方も似ているので、「本名ですかぁ?、バイクに乗ってるのですかぁ?」と尋ねると、「そうなんですよぉ・・・」と。意外だった。前川清さんがバイク乗りとはね。「事務所がうるさくてねえ〜」なんて言ってたけど、今も乗っているのだろうか。

 思案橋駅周辺、リストアップした一軒目の居酒屋の前に来た。しかしどうにもその店構えが私の好みではなく、移動。そして2軒目は思案橋駅前のビルの2階にある居酒屋“いちくら”。
 少々地味な店構えの、その扉を開けて店に入ると、客は誰一人いない。「やってますかぁ?」と店主らしきかっぷくのよい人に尋ねると、「今日は予約がないのでご覧のとおりです。どうぞどうぞっ」と座敷に案内された。


我らの席にドカッと座り「さて何を作りましょうか!」。バリバリの威圧感で怖いよ、そんな顔で言われたら。。。


ほんの1分後、世間話に振ると、あの“ヒコマロ”に似たような表情でにこやかになる。



 「大将、じゃあ最初は生ビール。あっ、カミさんは飲めないからお茶をお願いします!」。大将はカウンターに戻り、「私もね、アルコールはまったくダメなんですよぉ〜」と言いながら生ビールとお茶を持ってくる大将。大酒飲みにしか見えねえけどなあ。
 さて料理は何にしようか・・・私は初めて来る店の場合、その店にお薦めの旬の料理を聞いて、それを注文することにしている。ここも同様に大将のおまかせで、まずは刺身の盛り合わせを注文。
 やがて大きなカラダで盛り付けた皿を持ってきて、また席にドカッと座り、一品ずつ刺身の説明を述べる大将である。



長崎の旨い刺身。
左上から下へ、ヒラマサ、ヒラメ、アジ。右はミンククジラのサエズリ(舌)とウネス(頭部下部分の腹身)



 長崎の西の海にある五島列島出身の大将は、その五島の刺身に自信あり、といった顔つきだ。
 私は人一倍、魚には詳しいつもりで、もちろん五島の魚の旨いことは知っている。2009年5月の当サイト二輪旅“いい湯だ、ホタルだ、魚だ!”に登場する、伊豆下田のあのガンコオヤジの店“ひものや万宝(まんぽう)”、そのアジのヒモノ、実はほとんどが五島産。なぜかと聞けば万宝のオヤジいわく「五島産のアジはうめぇ〜んだからしかたがねえや」。
 ヒラマサ、ヒラメももちろんスペシャルな旨さだが、その横の見慣れないミンククジラのサエズリ、珍味というものにまったく興味がないカミさんにまず食わせてみる。恐る恐る箸を伸ばしクチに入れると「あぁ〜おいしい〜!」だと。写真なんぞ撮ってる場合じゃあない。この高価なクジラをみんな食われてしまうから、私もガンガンと頂く。「こりゃあうめぇ〜よ、大将!」

 クジラは昔とちがって高価なものだから、めったには食わない。食っても赤身だ。おっと赤身がないじゃないか大将!。
 「今日はね、いい赤身が仕入ることできなくて。どうでもいいのならいつでもお出しできるけど、それじゃあお客さん、満足しないでしょうしね」 
 刺身につづけて、もう、大将おまかせで数品の料理を出してもらう。そういや、カウンターで料理を作ってる時以外、大将はず〜〜〜っと我らの席にドカッと座っている。そして五島の魚の話、思案橋界隈の話、長崎くんち(祭り)の話をおもしろおかしく語ってくれる。これで大将が呑んべいだったら、いったいどうなっていたことか。その場合、勘定はどうなるのだぁ?・・・。
 最後に、これも食ったことのない料理が出てきた。カラダの表面がカチカチの甲羅のような箱フグ、その味噌焼きだ。日本酒のつまみによく合うぜよ。カミさんはご飯のおかずにしてたけどね、、、。
どうだぁ〜と言わんばかりの箱フグ。


“いちくら”:思案橋駅すぐ横のドモンビル2階。この日の客ははたまたま我らのみだが、普段は予約で満席多し。TEL:095-829-2544


 つまみが旨けりゃ酒も旨い。いやはや愉しい酒の席であった。次に長崎に寄ることがあったら、また来るよっ!と大将に言って居酒屋いちくらをあとにする。おっと、勘定はカミさんが払ってたけどいくらかな? えっ、二人で八千数百円? 確かにカミさんはアルコールを飲んでないけれど、あんなに高価なもんを食ってその値段はリーズナブル。ほんとにまた来よう。







龍馬は見ていない夜景。

 路面電車でホテルに戻り、無料巡回バスで稲佐山の長崎ロープウェイ乗り場に向かう。今日の〆は夜景である。


 私の夜景といったら赤チョウチン。ツーリングで夜景を見に行くなんて初めてのことだろう。なんたってこの時間帯は居酒屋タイムだし、旅館であれば呑んべい絶好調時間、わざわざ山に登ることは、まずない・・・のだが、カミさんが見たいというのだから仕方がないのですよ。

三脚なんぞ持ってきてないから夜の写真は、これ限界。


※すみません。次のページも、たぶんバイクが出てきません。
でも龍馬はたっぷりお届けします。


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