2013年6月5日




 吉里吉里(きりきり)の旨いラーメンを食って、おバアちゃんに嬉しいお土産をいただいてさらに南下。途中、ガレキ処理最中のあわただしい街を通り、釜石市内に入る。釜石は20数年前の鉄道旅行で宿泊した街、懐かしい。

 2011年の震災の翌年からだろうか、それまであった商店が津波で流されたために、三陸海岸地域では地元の方々によるプレハブの「復興商店街」というのできている。そこに行って、食って飲んで(当然夜だ)お土産買って、というのが今回の旅の目的でもある。








久慈より三陸海岸線を南下。



プレハブの小さな店内。客は我ら3名のみ。



“マミー”のオバちゃん。つらい話もなぜかニコニコと話してくれる。それを聞く私のほうはつらく、笑って言葉を返すことはできない。
 JR釜石駅からバイクで1分も走らぬうちに、プレハブが建ち並ぶ“釜石はまゆり飲食店街”がある。午後3時前という中途半端な時間帯なのだろうか、まったく人はいない。
 “マミー”という喫茶店を見つけて入る。アイスコーヒーを運んでくれたオバちゃんの「どちらから?」という問いに、「東京から遊びに来ました」というと、「あれま、ありがとねっぇ」と嬉しそうに応えてくれた。
 やがてここのご主人も加わり、話ははずむがあまり良い話ではない。
 「釜石の海側はみんな流されちゃって、最近、高台に土地を売り出してるんだ。それがねえ、震災前は坪(3.3㎡)2~3万円だったあたりが、坪40数万円だよ、買えるわけないさぁ」。すかさずオバちゃんが「アパートもちらほら建ってるけど、1DKで9万円ですよ、高すぎて入れやしない」・・・なんだそりゃあ、坪40数万円といったら東京の郊外の土地価格、1DKで9万円のアパートなんて東京23区内だって、いくらでもあるじゃないか。ひどい話だ。いったいどうなってるんだぁ! 人の弱みにつけ込んだ悪いやつがいるんだなあ、けしからん!頭にきた!
 ・・・・・しかしさらにも増すほんとうの怒りは、その数十分後の出来事である。

プレハブの飲食店街。

カミさん注文のケーキセット。
“負げねぇぞ!釜石”焼酎。夜なら飲むのだが。

笑顔を絶やさないマミーの女性スタッフ。






こんなにドタマにきたこと・・・ない!。


 釜石はまゆり飲食店街を離れ、釜石市内を通り抜けると、国道45号を軽快なペースで走るゼファー。しかしすぐ復興関係と思しきトラックでペースダウン。三陸海岸沿いには険しい山はないが、ちょっとした上り坂でもダンプの速度は40km/h、ガレキ満載なら30km/hくらいまで落ちてしまう。
 そんな国道45号の復興トラック・ダンプが走る山道にも助け舟はある。ゆるやかな上り坂にさしかかると追い越し車線が点在するのだ。
 追い越し車線が始まると、トラックの運ちゃんはすぐさま左によけて、後ろに並んだ多くのクルマに道を譲る。
 ・・・・・そんな時である、とんでもなく怒ったのは、、、。



 トラックを先頭に前から3台目に私のゼファー。前方には追い越し車線が始まるのが見える。トラックは左によけて、、、とその時、対向のトラックがパッシング。まさか、、、そのまさかの“ネズミトリ”である。




 ゆる~い登り坂の直線の左側の草むらにポリスがレーダーを無表情で構えていた。トラックが道を譲れば、後続にズラ~っと連なっているのを知ったその後ろのクルマは、すばやく抜くだろう。そこを捕まえるということだ。

 いったいどういうことなのだ。この道の手前の街、そのまた手前の街でもガレキ処理のダンプが砂煙を上げて走り、いまだに信号すら復旧していない交差点が数多くある。困っている住民はたくさいいるのだ。

 「コラァ、ほかにやることたくさんあるだろっ!」

 この旅の初日の新幹線のボディー、そしてそれぞれの街で、店で、「がんばろうニッポン」 「がんばろう東北」 「頑張れ三陸」 「負げねぇぞ・・・」 「たちあがれ・・・」、数えきれぬほど見てきたが、こんなところで「頑張って」も誰か褒める者がいるのか。(売上げ良ければ上司が褒めるか)

 「頑張る場所がちがう、っつうの!」

 私は交通取締り事態に反対しているのではない。だがこの復興地域での、そしてこの場所でのやり方が気に入らない。もし復興地域でやったとしても、小学校や商店街の近くであるなら仕方があるまい。しかしこの場所には民家もなければ、人の気配もない森林の中だ。しかもトラック・ダンプを追い越せる数少ない場所。ではなんのために、、、

 「これがカネを盗る目的の取り締まりかっ!」

 レーダーポリスから数百メートル先に、机を前にボケェ~と座った3名のポリス。その後ろにはパンダカラーのワンボックス、岩手県警だ。

 「こんなとこにいないで、信号の代わりをしなさいよっ!」

 私の頭にはすごい勢いで血が上っていた。そして一瞬、机に並んでいる3名のポリスに文句のひとつも言いに停まりたかった。しかし大人気ないからやめた。代わりにゼファーのスロットルを豪快に3発吹かし、抗議とした。(これも大人気ないか)
 ・・・悪いな、こんなとこでサイフのヒモはゆるめねぇ~よ!


 ・・・これだけ頭にきたのは、この日の前夜(6月4日)に見たニュースを覚えていたからである。それは国家公安委員長(警察を管理する委員会のトップ)の次のような言葉である。(ニュースから抜粋)

[ 古屋国家公安委員長、交通違反取り締まりの現状について苦言 ]

古屋国家公安委員長が、4日朝の閣議後に行われた記者会見で、交通違反取り締まりの現状について苦言を呈した。
4日朝の閣議後に行われた、古屋国家公安委員長の記者会見。
そこで、古屋国家公安委員長は、記者に対し、突然、「(交通違反で)反則金を切られた時に、納得して切られましたか?」と質問した。
古屋国家公安委員長が、「どう、あなた?」と質問すると、記者は「納得していない」と答えた。
それに対し、古屋国家公安委員長は「納得してないよね。実は、そうなんですよ」と述べた。
そして飛び出したのは、交通違反取り締まりの現状についての苦言だった。
古屋国家公安委員長は「ややもすると、取り締まりのための取り締まりになってしまっている傾向があるんですよ。これは、極めて問題ですよね。それはやっぱり、警察の信頼という視点からも、ちょっと疑問符がつきますよね」と述べた。
警察行政を管理する立場にある国家公安委員長から出た、この発言。
街の人は、「賛成です。(取り締まりを)決算末になると、真剣にやってるみたいな感じがするので」、「腹立つときはありますよね。隠れたところで、(警察官が)見ているパターンですよね」と話した。
古屋国家公安委員長の発言に、波紋が広がっている・・・・・

古屋国家公安委員長が例として挙げたのは、最高速度が時速50kmに制限されている、片側2車線の道路でのスピード違反の取り締まりへの疑問だった・・・・・


 このニュースを知った翌日だったもので、余計に血が上ったのでしょうねえ。でもやはり言いたい。

 被災した地域でのこんなやり方、
 「人情ってもんがないのかい、岩手県警さんよっ!」
 
 私の親せき、知人には警察官がいる。そして弊社には多くの警察官のお客さんがおられる。あ~あ、こんなこと書いたら、かなり減ってしまうだろうなあ、警察官のお客さん。あ~あ、ほんと余計なことを書いてしまった・・・(しかし反省してない)



ここは例のネズミ場所から次の街。この状態で追い越し車線があれば・・・ダンプをスカッと追い越すわなあ。 [フォト:坂上]



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