2013年6月3日


手前は“はやぶさ”、後ろにスーパーこまちが連結されて入線。


 「なんだこれっ、バイクツーリングじゃないのかよっ」 という声が早くも聞こえる。いやいや、ちゃんとバイクにも乗るんですよ。だからサブタイトルにあるじゃないですかぁ、“バイクと鉄道”って。

 6月3日、東京駅 “東北・山形・秋田・上越・長野新幹線ホーム(長い名だ)に、8時56分発、秋田・新青森行き“スーパーこまち・はやぶさ”が折り返し入線、その“スーパーこまち”に乗るのだ。
 なぜ? ・・・それは東北で待っている我がゼファー750と“スーパーこまち”とのツーショットを撮影するため。
 でもなぜ乗らなきゃならないのかって? ・・・ツーショットを写すからにはスーパーこまちの説明もしなければならないし、それには試乗しなければ現実味がないでしょう。だから、、、乗るんです。
 それよりもなぜ“スーパーこまち”なの?、“はやぶさ”ではダメなの? ・・・いっぺんに聞かれても困るので、これから順を追って話しましょうか。

“スーパーこまち”とカミさん。美しいでしょ・・・スーパーこまち。





“スーパーこまち”と “はやぶさ”。

 ときわグリーンの“はやぶさ”を先頭に“スーパこまち”が東京駅21番線に入線。堂々の17両編成で、その長さは401mある。ここで折り返し、こんどは“スーパーこまち”が先頭になり、盛岡で別れ、“スーパーこまち”は在来線を走って秋田へ、“はやぶさ”は新幹線規格の線路で新青森へと向かう。
 まずは親分格の新幹線フル規格車両“E5系 はやぶさ”から簡単に説明しよう。2011年3月に運転開始し、単独運転の場合は10両編成で最高速度320km/hである。
 一方の“E6系 スーパーこまち”は2013年春に運転開始し、在来線を走るため少し小柄で最高速度は300km/h。だが2014年の春には320km/h運転となる。どちらも360km/h目標の車両なので、まだまだ余裕ありなのだ。またどちらも振り子式車両。カーブで自ら車体を1.5度傾け、通過速度と乗り心地を優位にする。デザインも斬新だけど、性能も凄いのだ!


女性的な姿の“スーパーこまち”と、男性的な“はやぶさ”の合体。・・・あっ、べつに何の意味もありませんよ、妙な想像したら困りますなあ。


 我らは“スーパーこまち7号”の先頭から3両目、15号車に席を予約した。これには理由がある。
 この列車は5M2T(5両が電動車、2両はモーターなしの付随車)。で、鉄ちゃん(鉄道好き)としては電動車に乗る。これはモーター音が聞けるため。
 本来は進行方向の16号車にバンタ(架線から電気を取る機器。同じく12号車にも)があり、そのすぐ後ろは架線と擦れる音が耳障りなので避けるが、私ほどの「鉄」ともなれば、下りの16号車のパンタは使用せず、が分かっているのである。(ほんとうは先頭の17号車を希望したが満席のため断念)
 なお、進行方向左側の席を指定した。それには理由があるのだが後ほど。

 ・・・それにしてもカッコいいですなあ、E6系。JR東日本ではこの赤を“JAPAN RED”と呼ぶのだ。


発車9分前。ホームでうろうろしていると乗り遅れるので、注意しないと。





まだするか! “スーパーこまち”の説明その2.











これどこだかわかりますかぁ?
車内のデッキと客席との間のドア。いいセンスしてますなあ。稲穂はきっと“秋田こまち”(米)でしょうねえ。


ロングノーズ:スーパーこまち13m、はやぶさ15m、なので先頭車の客室は小さい。

パンタグラフ:スーパーこまち7両編成で2基あり。ただし1基のみ使用。なお、屋根もJAPAN RED。

新幹線フル規格ではないので通常の普通車3列+2列ではなく、2列+2列。このほうがゆったり感あり。
側面に描かれたE6系のシンボルマーク:秋田地方出身の美人、小野小町をイメージしたそうだ。

ステップ:車体が在来線規格ため、ホームとの間にすき間が大きく、停車時にはステップが出る。

「おっ、見つけたぁ!」どこかにはあると思ったが、ここに付いていたかぁ!











 “E6系 スーパーこまち”を知らなくても、バイク乗りならこのマークは知ってるでしょう。そう、“川崎重工”。
 製造はもちろん、内外装デザインも同社が担当している(監修は工業デザイナー奥山清行氏)(日立製作所でも製造)。

 ・・・やっとお分かりでしょう。なぜゼファーとのツーショットを撮りたかったのかを。

 
“ゼファー”と“スーパーこまち”は親戚、いや兄弟なのだ!


※正確に申せば、川崎重工は蒸気機関車から、現在のさまざまな新幹線を製造している。だからゼファーの兄弟は数多く走っている。ま、スーパーこまちは2013年現在の最新新幹線車両というわけ。と同時に、私のお気に入り新幹線。






松下ヨシナリ〜、お前さんも連れてってあげるからなぁ、、、。

ちなみにキップにある“大休05”とは、大休は“大人の休日倶楽部”会員で、おそらく05は5%割引を意味すると思われる。大人の休日クラブ、50歳になったら入会できますよ。特典がいっぱいあって、ありがたいですよ〜。










発車!

田んぼが広がる中を快走。




盛岡到着。




盛岡からは木の葉が車両に触れるくらいの在来線を走行。
 東京駅8時56分。後ろに“はやぶさ”を従えてスムーズに発車。しかし4分で上野に停車し、その後は曲がりくねった市街地の高架線を100km/h少々でチンタラ走り大宮停車。そしてこの駅を出るとフルノッチ(バイクで言えばフルスロットル)、モーター音を少しだが聞かせてくれて本格的な加速。速いっ! それでも宇都宮までは最高速度275km/h。
 宇都宮を通過するともう一段加速して300km/h、で走っているのだろう。なんだかスピードに目が慣れたのか、車窓からの眺めが広大なので、それほど速いとは感じない。揺れも少ないし。
 もう13年前になるだろうか。同じくカワサキの初期型12R(当時の市販バイク最速)でメーター読み320km/h(実測はたぶん300km/hか)を出した時は(場所は言えない、もう時効だろう)風圧と音で恐怖心を覚えたが、この“スーパーこまち”は、いたって平和な走行である。
 仙台に停車。えっ、大宮から実距離294.1キロを1時間11分、平均速度は249km/hだ! 速いっ!。(“はやぶさ”および2014年春の320km/h運転なら、なお速い)

 仙台から171.1キロを42分で走破し、盛岡のホームに滑り込む。ここで後ろの“はやぶさ”を切り離して“スーパーこまち”が先に出発。ここからは線路の幅以外は普通の在来線で、スピードはガクンと落ち130km/h制限。“スーパーこまち”にとってはアイドリング走行みたいなものだろう。なんたって踏み切りありの単線(上下線がひとつの線路で行き来する)ローカル線なのだ。盛岡発車時にカレチ氏(車掌さん)がマイクで言っていた。「ここから先は在来線に入り、少々揺れます・・・」と。


 盛岡を発車して10分ほどだろうか、車窓を愉しんでいると、田んぼの向こう側に見覚えのある赤いバン、その近くにはレンズをこちらに向けている坂上カメラマンの姿が・・・。

“スーパーこまち”の車窓から。

 ・・・これでもうお分かりだろうか。ゼファーをバンに積んで、真夜中に東京から走ってきた坂上カメラマンとは、このすぐ先の雫石(しずくいし)駅で待ち合わせていたのだ。ついでに我らが乗っている“スーパーこまち”を撮ってねと、伝えておいた。だから進行方向左側の席を指定。

 ではその姿をご覧いただこう。(曇り空で残念だけど)





7両編成の身軽な姿のスーパーこまち。[フォト:坂上]



岩手山をバックに。 [フォト:坂上]



乗っているのだ。 [フォト:坂上]







 坂上カメラマンの撮影場所から約1分でローカルな雫石(しずくいし)駅に停車。列車を降りた乗客はすぐ改札に向かうが、我らはホームに残り“スーパーこまち”を見送った。


 改札を出ると駅にはだ〜れもいない。新幹線の停車駅とは想像できないほど静かな駅である。
 そんな中、あの赤いバンがやってきた。無事に我がゼファー750を積んで。そして降りてきた坂上カメラマンの第一声・・・「眠いよぉ〜〜〜」。
 で、この駅の中のレストランで昼飯&打合せ。


少々近代的な雫石駅。

ゼファーが顔を出す。
カミさんのメシ。

坂上カメラマンのメシ。
雫石牛を使ったステーキ丼?だったかハラミ丼だったか、凄く旨い私のメシ。 雫石駅構内の“味力レストラン 雫(しずく)”、ここはお薦めですなあ。






本日のメインディッシュ・・・“カワサキ”ツーショット


 “スーパーこまち”から“ゼファー750”に乗り換え、3〜4分走ってツーショット撮影目的地に向かう。


 撮影場所を探すのには苦労した。さまざまな条件をクリアしなければならないからだ。その条件とは、、、

1. 線路のすぐ隣に道路がなければならない。
2. その間は、木もなく草も低いこと。
3. 列車もバイクも順光(カメラの方向から太陽《光》を受ける)。
4. 線路の架線電柱が反対側にあること。

 以上4つの条件を満たす場所を探すためには地図では不可能。どうしたかって? ユーチューブなんだな、鉄道ファンの前面展望動画ってやつ。それをじっくり見て探したのがこの場所だった。
 しかも一発勝負。なんたって午後2時38分頃に通過する秋田行き “スーパーこまち15号”、この1本しかないのだ(その次は夜)。そして願うは晴れたり曇ったりの気まぐれな空模様、頼むから太陽、出てくれい。

 さてと、撮影準備・・・坂上カメラマン、勝負だぁ!
(坂上カメラマンは朝からここに来て何本もの列車で練習してやがる。ズルイ。)
(バイク行動の私はレンズ1本で予備カメラ無し。坂上カメラマンはレンズ多数に予備カメラあり。ズルイ。)


このアングルは坂上カメラマンに先を越された。


まずはオバちゃん通過。


普通列車通過。



仕方がないので私は草の中で。 [フォト:坂上]


つづいてトラクター通過。


E3系こまち通過。(架線電柱が逆側条件の意味、分かるでしょ。列車の姿が電柱でじゃまされないのだ)


 さていよいよ本命の“スーパーこまち”が、あと3分でやってくる。速度はおそらく制限いっぱいの130km/hだろう。ISO感度よしっ、シャッタースピード1000分の1よしっ、露出よしっ、高速連写よしっ、オールサーボポイントよしっ、、、おっ、来た来た来たぁ〜〜〜。











最新の新幹線がすぐ横を走る。この違和感がたまらない。 [フォト:坂上]


 「なんでスーパーこまちがあんなに遠いんだよっ!」 「真横を通過する写真も撮ってるんだろっ!」 とお思いでしょう。そのとおり。でもそれをお見せしないのにはワケがある。そのベストショットは2014年春のカタログに載せたいんですよ。だから オ ア ズ ケ。。。(私と坂上カメラマンのと、どちらを採用するかは未定)
 嗚呼、なんとカッコいい写真なのだろう。火の玉タンクのゼファーに真っ赤なスウィングジャック、そしてJAPAN REDのスーパーこまち! お見せしたい、すぐに、、、でもダメ。
[2014年春のカタログは3月上旬予定です。]


[第2話は岩手山麓をゼファー快走!]

 でも「三陸」というタイトルなのに、なぜ盛岡近くの岩手山麓でうろうろしてるのだ? と聞かれそうだから説明しよう。
 遊んでいるわけではないのです。三陸の旅のついでに、カタログ・サイト用のイメージカットを撮らなければならんのです。第三話からは、こってりと三陸をご案内するので、ちょっとだけお付き合いくださいな。。。

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