文:三橋 写真:坂上修造・三橋 [ 2004年12月24日 ]



まずは318発足式
 撮影本番を数日後に控えたある晩、“あきもと”で318の発足式を行なった。その中に、突如として撮影スタッフに加わったアキちゃんがポツリンと座っている。

 数日前にここで呑んでいた時のことである。秋元ちゃんがこの店をオープンさせる前の呑み屋の店長だった頃に彼女はそこでアルバイトをしていた。そのアキちゃんが突然やってきたのだ。
「お〜ぅ、久しぶりだねえ、元気してる?」
「あまり元気じゃな〜ぃ」
 いつもニコニコ、ノーテンキな女子大生、といったあの頃のアキちゃんではない。なにか重荷を背負っているような、暗い影がある。きっと人には言えない事情があるのだろう。
「アキちゃんよぉ、元気が出ることやらないかぁ?」 落ち込んでるその姿に、思わず318ブランドのことを話し、撮影隊に参加してみないかと持ちかけた。
「やる〜。」・・・また一人増えた。





 



 撮影の被写体キャラとして、秋元ちゃんは不良イメージが強すぎ、尾身しゃんだけでは優等生的。だから二人を同時に露出させることによってバランスをとるつもりだったが、男臭さが演出できても、なんとなくホモっぽくも感じられる。だから“女性”の登場は、それとなく頭に入っていたのである。そこにナイスなタイミングで現れたのがアキちゃんであった。
 よーし、これで “俺たちの旅”が始まる。(古い!昭和50年代前半の青春ドラマの傑作。中村雅俊・秋野太作・田中健出演)

 さて、総勢10人、318の発足式。ビリヤードから始まり、ダーツに花札、そしてなぜだか筋肉バトル(血い流す者あり)。みんなしこたま酒呑んでるわけだから、もうメチャクチャなことは言うまでもない。
 そんな中、ひとり冷静な尾身しゃんがポツリと俺に話しかける。
「なんか楽しそうだから、撮影だけじゃなくてボクも販売スタッフに参加してみようかと・・・」
「えっ、、、じゃあそうしよう!」
なんだか簡単に決まってしまった。
「それにボクは極心空手歴10年ですから、弱くないです・・・」
 だからなぁ〜、格闘技ブランドじゃねえっつうの!
 ちょっと不安な、、、318。


[ 新人“アキちゃん”の紹介 ]

発足式にはプロカメラマンが二人参加していたので、アキちゃんをカッコよく(色っぽく)撮ってもらうことに。しかしプロらしくないコンパクトデジカメで。


ワインレッドのウインドブレーカーは、初公開318の撮影サンプル。








このサイト発信日がクリスマスイブなので、もう一枚サービスカット。



・・・酔っぱらっていようが、小さなコンパクトデジカメだろうが、やはりプロですなあ。




 こうして女性のキャラ、そして販売スタッフも1名増えた。もともと“あきもと”を辞めるわけではない秋元ちゃんだから、318では夕方以降は働けない。毎日夜中まで働いているので昼からしか働かない。精神的な理由からか不良だからか?日曜日から水曜日は働かない。
 俺とて同様、ペアスロープの仕事があるので店番は不可。いったいどれだけ営業できるかは未知数だったわけで、尾身しゃんの参加はありがたい限りである。


 しかし、大事なことが、、、。店をどこで営業するかがまだ決まっていない現実。
 そしてなお、もっともっと大事なこと、、、先だつもの、お金が足りない!
 後日、秋元ちゃんと二人で幹部会議。
「俺はこの店の借金でアップアップなんだからさあ、三橋さん、銀行にちょっと行って借りてきてよっ」
 なにをガキみたいなこと言ってやがる。この不景気な世の中、銀行が、ハイさようでございますか、いかほど御入り用で、などと言う訳がなく、本家ペアスロープにもこんな不良的ブランドを抱える余裕もない。宝くじでも当たらなけれ、、、宝くじ? あっ、宝くじ、そうだ宝くじだ!










 318枚、総額95,400円の宝くじを二人で買う。このお金があれば、試作品のもう2点や3点ができただろうが、そんな優等生的な思考能力が俺たちにあるわけがない。でもこれがフツーのブランドではない、不良の心意気を持つ318なのだ。










第八話 おしまい
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