318ブランドの製品サンプルも12月中旬には全て出来上がる予定で、あとはその撮影をするのが楽しみという段階にまでになった。
いつものように“あきもと”で一杯呑みながら打ち合わせをする。
「どおせなら、カタログ作ろうよ、また俺モデルになるからさあ」
カタログ?、費用がどれだけ掛かるかなどヤツはまったく考えていない。それに自分がモデルをやるもんだと思っているらしいが、今の考えではメインにするつもりはない。(あまりにもリアルだから)
「あのなあ、秋元ちゃん。カタログってのはたくさんお金が掛かるんだぞ。ショボイ予算しかないんだから、当初はホームページだけの案内!」
「しっかり売ればいいじゃない!」・・・それが計算できるなら、カタログ作ろうが何しようが心配いらないのだが。。。
また一人の不良が。
数日後、知人といっしょにまた“あきもと”を訪れる。
「え〜と、あっ、スピーディーの社長といっしょに来てた、、、え〜、、、海外ブランドの仕事してる、、、」
「尾身です。」
「あの時は背広でバシッと決めてたから、一瞬だれだか分かんなかったよぉ。で、突然どおしたのさぁ?」
「実はですねえ、会社辞めてきちゃったんですよぉ。それであの時、不良ブランドのことを聞いたのを思い出して面白そうだから、ボクをモデルにしてもらおうと思って、ご挨拶に来ました」
・・・・・「えっ、、、バッカじゃねえのぉ、ねえ、まともな会社で重要なポストにいたじゃん。確かに俺は不良っぽいけど、あなたの方が正真正銘の不良! 三橋さん、何か言ってやってよ、この人に」
俺が尾身しゃん(俺は“しゃん”と呼ぶ)から話を聞いたときには、すでに退社したあとだし、まだ小さな子供3人と奥さんを養ってゆかなければならない身の上、やはり「なに考えてんのぉ?」が第一声だった。と、同時に「プータローやってんなら写真でも撮られてみるかい?」
って言ってしまったのだ。
「で、尾身さんの得意ワザは何さぁ」 秋元ちゃんはまだ会って2回目なので探りを入れる。
「ボクの得意は、英語と中国語、イタリア語はほんの少しです。」
確かにスピディー社長の通訳をお願いしたし、中国語が堪能なことも知っている。
「なんだぁ〜?・・・写真に外国語は必要ないだろが〜、あんまり役に立ちそうもないワザだなあ」
かく言う秋元ちゃんだって、得意ワザは“酒の吟味とガン飛ばし” (事故で負傷の為、跳びヒザ蹴りは現在不可) どちらにせよ、両者のワザはブランド作りに直接的な必要性はない。(間接的にもない?)
なんだか妙な方向に行ってしまう予感だが、不良心を持った二人(俺を含めて三人)がイメージカット撮影に取り組むことになった。本気を出せば、まあ、どちらの男をメインカットにしようとも一流の不良心を持っているのだから、318を買ってくれるお客さんもいるであろう。
きっと、たぶん、恐らく・・・?
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スピディー社との日伊バトル時:いつでも、どこでもネクタイ姿で7・3ヘアーの尾身しゃんであった。
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真面目青年(中年)と不良:この二人のキャラのちがいは大きすぎるが、共通点は不良心。
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「ハッ、ハッ、ハァー、あなたの得意ワザは外国語なんだぁ。俺、山形弁。・・・あっ、ビリヤードへたっクソだねえ!」 他愛も無い会話。 |
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