文:三橋 写真:三橋、坂上修造、大島一浩
2005年10月〜2006年1月予定





 私の場合、肩・肘・背中にと頑丈なプロテクションが付いたジャケットはきらいだ。なんといってもその動き辛さには我慢ができず、どんなに天気が良くても気分爽快なツーリングができない。立ち食いうどんだって、まともに食えないじゃないか。
 ・・・転けたらケガするって? そんなこと思ってたら、はなっからバイクになんぞ乗ってはおりませぬ。
 と、ボヤいても、それは個人的なことで、ライディングウエアメーカーとして安全性は重要な要素。弊社のウエアでもプロテクションは少なからず考慮して製作している。
 だがしかし、「もっと安全性が高く、できる限り着心地が良いウエア」っていうのもできないはずはない。それにはレーシングスーツのノウハウが必要であった。
 そう、浜松の“ヒョウドウ プロダクツ”のノウハウが、、、。
 このストーリーは、頭に浮かんだことから、あるひとつのジャケットが完成するまでの製作記である。


[ お願い ] ジャケット作りの両社の詳細な秘密事項がほとんど解ってしまいます。ですから同業者の方は、どうかここから先に進まないでいただければ幸いです。なにとぞよろしくお願いいたします。 筆者より   
>> 同業者の方の出口 (ご協力ありがとうございます)




2005年10月某日


 近年のデザイナーはパソコンでデザイン画を描いている。しかし私は今だに超アナログで、紙と鉛筆に頼っている情況。まあ、パソコンを使いこなせない事情もあるが、真っ白な紙を前にすると想像力が働くし、気持ちが高ぶる。
 ある日、ニューモデルのデザイン画をいつものように鉛筆で描いていると、ひとつの困難にブチ当たった。安全性を高めるライディングウエアのプロテクション装着モデルの企画である。
 私のような、ハードプロテクションだいっ嫌い人間が、納得して着れるウエアが作れるか、、、答えはノーに限りなく近い。
「多くのメーカーで販売してるのに、なぜペアスロープは出来ないの?」って聞こえてきそうだが、ただプロテクションが装着されているだけなら猿でも作れる。ほんとうに転倒時に機能するか、着心地はどうか、デザインがくずれないか等々、そして私のような者を納得させることが、なにより難しい。





 なんだかあまり気が乗らないので、休憩がてらに二輪誌をペラペラめくっていると、“ヒョウドウ”のレーシングスーツが目に留まった。
 これだ、これ、この手しかない! もともとヒョウドウの技術は高く評価しているし、超高速のレースから得るプロテクションノウハウは弊社の比ではない。数年前に面識があるので、さっそく社長である兵頭氏に電話を掛ける。
 「弊社と御社の技術で、最高のツーリングジャケットを作ろ〜う!」
 そりゃあ唐突に電話して、同業者にとんでもないお願いしたものだからさぞかし戸惑ったであろう。しかし私の熱意の説明に、ついにはこころよく引き受けてくれた。(いや、強引な説得に渋々といったところかも)
 そして数日後、浜松のヒョウドウ プロダクツに出向くことになる。東京から2日かけて。。。 







そして2005年11月・・・試作品製作開始

[ しかし、完成された製品を自慢げに公開するのが妥当なやり方だが、まだこれから作ろうとしているモノを製作過程から予告公開するってえのは初めて。しかも2社合作も初めてである。
ここまでやって「やはり失敗しました。。。」ではカッコがつかないだろうから、ぜひ頑張ってみようと思う。頼りにしてます、ヒョウドウ様、様、さま。
・・・と、多大なるプレッシャーを遠州に捧げる、夫婦坂
]

第二話に行く前に “ヒョウドウ プロダクツ” を知りたい方は・・・こちらへ >> HYOD

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