せっかくのツーリングで雨に降られると、気持ちまでどんよりジメジメしてしまいますよね。それでもせめて、高性能なレインスーツがあれば、笑顔で旅を続けることもできるはず。じゃあ、レインスーツってどんなもの?
雨で空いてしまった時間にでも、読んでみて損の無いキホンのお話です。

2007年5月9日更新 担当:池田


非常に多くいただく質問です。
「全天候型」というのがどの程度を示すのかにもよりますが、最近のライディングジャケットは多少の雨で短時間ならそのまま走行できるものがほとんどです。でも、結論から言いますと、「レインスーツは必要です!」


繊維素材は日々進化しており、弊社で使用しているスーパープロテインテックスナイロンも、耐水圧20,000mmを誇ります。一般的なレインスーツが耐水圧10,000mmくらいからですので、数値的にはかなりの防水性があると言えますが、それでもペアスロープでは「全天候対応」という説明はしません。
なぜならば…、

ライディングジャケットは晴天時の快適性を優先しています。たとえば、ジャケット内を換気させるベンチレーション。暖かい季節には必需品です。しかし、ジャケットに開口部を付ければ、当然防水性は犠牲になります。ファスナー部分は構造上密閉ができないので、仮にレインスーツと同じ生地で作ったとしても、同等の防水性は期待できないのです。

逆に防水性を優先すると、開口部どころか縫製部すらも極力減らします。フロントファスナーもフラップにベルクロ、折り返し付きの襟と、非常に厳重です。これだけ構造が違いますので、ライディングジャケットに同等の防水性能を持たせるには、構造もレインスーツ同様にしなければならず、使いやすいポケットやベンチレーションとの両立は、実質不可能と言わざるを得ません。

さて、それでは次に、防水素材の構造についてお話しします。
内容としましては、撥水性の高い表面でほとんどの水滴をはじき、それでも浸入して来た水を内側のフィルムで食い止める、といったものです。スーパープロテインテックスは画像の2層、レインスーツでは身体側にべたつかず肌触りの良い層を追加した3層構造の生地を使用しています。


図と説明を見てピン、と来た方、鋭いですね〜!
「内側のフィルムで水滴を食い止める」ということは、いずれは表地はびしょびしょになってしまうということです。仮に雨天走行可能なジャケットがあったとしても、体は濡れていなくても外から見たら見事にずぶ濡れです。そんな状態で走り続け、旅を楽しめるでしょうか?
道中の景色やワインディングを十分に楽しめない雨のツーリングの楽しみは、食事や温泉など、おもに室内での計画ではないでしょうか。入念に下調べをして、ここぞ!という場所を選んだ旅のハイライトです。
レインスーツがあれば、サッと脱いで普通に入れますが、無かったら…せっかくのお楽しみまでショボボンです。宿泊なら宿も…濡れ鼠でのチェックインは、不可抗力ではあっても、あまり好ましいとは言えません。もし翌日雨が上がっても、水びたしで重〜くなったジャケットを着なくてはなりませんし…。

やはり、素材がどんなに進化したとしても、バイクの旅にレインスーツは必需品ではないでしょうか。



応用編:賢いレインスーツの選び方>>



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