2010年4月15日

長崎を離れる。


 見晴らし良いホテルの窓、朝食を食いながら長崎の街を望む。そしてぼんやりと路面電車を眺めながら龍馬銅像のブーツとブーツだけの銅像を思い出す。
 龍馬は長崎の地で初めてブーツを履き、現在それを長崎はおおいに話題にして、復刻ブーツまで作り上げた。しかしなぜ龍馬はブーツがお気に入りだったのだろうか、、、まあそんなことは龍馬に聞かなくては分からないが、少なくとも龍馬の履いていたブーツのデザインが、ある程度まで明確になったことは収穫だ。とはいえ「龍馬が履いていた」ようなブーツを作ろう、なんて考えてやしない。それよりもっともっと極上な、龍馬に見せたら「それ、ほしいぜよっ!」と言われるようなブーツ、もうすでに私の脳裏には浮かんでいるのである。
 さて、これで長崎とはお別れだ。勝海舟と龍馬が長崎に来た道を逆にたどって熊本に戻ろう。


長崎電気軌道と最後の並走をして長崎市内を出る。


クルマの姿なき長崎自動車道。




 トンネルだけの“ながさき出島道路”を走って長崎自動車道路に合流。そして一つ目のインターで降りようと思ったら、上り線には出口がないんでやんの。おい、ツーリングマップル、そのくらい表示してくれてもいいんじゃねえのかな!
 結局次のインターで降りてガソリン補給。CB1100は18km/Lで、まあリッターバイクとしてはフツーだが、XR230モタードは、なんと40km/Lも走っている。尻は痛くなれど、経済的には極めて優秀だな。(ただし、CBのペースに合わせた高速道路オンリーでは、XRは23km/Lに落ちるけど)
 それにしても今日も寒いじゃないか。カミさんは今朝からネックウォーマーをして走る。そしてガソリンスタンドでは石油ストーブが灯っている。とても4月中旬の九州長崎のイメージではない。




 国道251号線を天草灘の海に沿って東へと走る。やがて進路は南へと変わり、雲仙市の小浜温泉街に入る。
 イオウの匂いがするなあと思ったら、海沿いの公園内に湯煙が上がっている。休憩がてらにここで昼飯としよう。



小浜温泉。

公園内に漂う湯煙。

温泉蒸し玉子(2個100円)を買う。オバマタオルもちょっと気になる。

買った温泉蒸し玉子を食う。これがまたいい味しているのだ・・・お薦め。



湯煙の元。大きな釜のよう。

玉子を持参すれば、蒸釜で温泉玉子を作ることもできるが、これは住民用かな。

たぶんこうだろうとは思ったが。。。



 この公園には足湯があるのだが、なんてったって寒いので遠慮する。
 さて昼飯。どこで食うかなど迷うことなく、公園の前に温泉食堂が。なにやら一定額以上の飯を食うと、館内の温泉に浸かれるようだが、この先のフェリーの時間もあるし、パスだな。
 そういや長崎市内に2日間いて“長崎ちゃんぽん”を食い忘れていた。しまったぁ、と思っても、もう遅い。そこにこの食堂で“小浜ちゃんぽん”を見つけ、カミさんが注文。私は出てきたそれのスープをちょいと頂く・・・旨い! これにしとけばよかったか。
 で、私が注文したのは“旬の地魚にぎり”1780円也。タイにカンパチ、タチウオにアジ、島アジ(間違ってるかもしれない?)、みんな超新鮮。ほんとすっげ〜旨かったので、写真、大きくして皆様にご案内。(余計なお世話か)

魚にはうるさい私だが、こんなに旨いとは思わなんだ。。。


さて出発。の前に、カミさんのホカロン作戦。


ホカロン装備の上に、カッパも着て防寒。





雲仙を軽快に通過。


 小浜温泉から雲仙に向かってワインディングロードを上る。上半身カッパ姿で。
 おっと、カミさんのペースがだんだん速くなってきたぞ。CB1100のパワーの半分も使ってはいないけど、だいぶ慣れてきたのだな・・・というより、写真撮ってついてゆくXR230の私が辛くなってきた。







カミさんのペースでも前のクルマに追いつく。小浜温泉から島原まで全線追い越し禁止だが、うれしいことに地元のクルマは左によけて追い抜かせてくれるのだ。






ペースが上がるカミさん。あと1〜2cmでステップ擦るまで寝かせている。今まではこんな走り方をしない(できない)のだが、よほどCBが乗りやすい為であろうか。・・・しかしチョウシこかないでほしい。“借り物”なのだから。






雲仙地獄の湯煙である。








イオウの匂いの湯煙の中をつっこむ。先が見えないが大丈夫だろうか。


両手離しスローシャッター写真。CBに比べると不安定なXR230では、これが限界。









下り坂が苦手のカミさんだが、安定してペースは変わらない。








森林の中も気持ちが良い。これを抜けると、島原はすごそこ。





悲惨な火砕流が発生した普賢岳を左に、そして右には有明湾を望む。(写真じゃ分かんないだろうが、私らには見えている)



「龍馬も通った」島原。




 熊本行きのフェリー乗り場である島原外港付近に着いたが、出港にはまだ1時間半もあるので島原城跡に寄ってみる。熊本城に比べたら、それはそれはこじんまりとした城跡だが、なかなかよい雰囲気だ。1台100円の駐車代を払って城内に入る。堀の脇に咲く満開のツツジが見事である。






 天守閣のまん前にバイクを停められる城跡なんて初めてだ。バイクを降りると羽織はかま姿のおネエちゃん(城の案内係り)が寄ってきた。よくよく羽織を見ると、龍馬の家紋。足元はブーツ。
「あの〜、なんで龍馬姿なんでしょうか?」の私の質問に、「びんじょう・・・ですかねえ(ニコッ)」。
 その答えを聞いて、あいだに入ってきた武将姿のオヤジ(同じく城案内係りの方)いわく「坂本龍馬は島原を通った、ゆかりの地なのです!」
 通っただけなら龍馬ゆかりの地は全国いたるところにあろう。おネエちゃんのほうが正しいんじゃねえのぉ?、とツッコミ入れたいとこだけどやめといた。どっちにせよ、観光客のためにこんなお姿で一生懸命に城を案内してくださっているのだ。頭が下がる。
 さてフェリーの時間がせまってきた。天守閣に入りたかったがまたにしよう。さらばじゃ。。。





有明湾を渡り熊本へ。


 島原外港から有明湾を横断する熊本港行きの高速フェリー“オーシャンアロー”にバイク共々乗船する。
 フェリーといえば昔ながらのあのスタイルを連想したが、オーシャンアローはちがっていた。ちょっと大きなクルーザーみたいだ。これがたったの30分で熊本港に着くという。航海速度30ノット、時速に直せば約55km/h。まあたいしたことない速度にみえるが、船としてはそうとうな速力である。






 龍馬と勝海舟は、熊本〜長崎の往復にこの同じ海を渡っている。おそらくは手漕ぎの船か帆船で、3時間は掛かったろう。陸上も海上もおそろしく交通は変わったものだ。しかし、オーシャンアローが速力を上げ、離れてゆく雲仙の山々のその景色は、当時と変わらないであろう。龍馬は、勝海舟は、この海の上で何を思っていただろうか。きっとニッポンの将来を考えていたにちがいない。
 ・・・えっ、私がこの海で何を思っていたかって? そりゃあ足元を大事にしていた龍馬さんの意思を見習って、龍馬さんに褒められるような究極のブーツを作ることですよ。ま、考えがちっちゃくてすみませんです。

島原を離れてゆく高速フェリー。

 さてオーシャンアローは熊本港に着き、そこから15分ほど走ってホンダドリーム熊本に。無事にCB1100とXR230モタードを返却して熊本空港に向かって、ビュンと羽田へ・・・と帰るわけがない。まだひとつ残しているのだ。それは龍馬とその妻お龍の、日本で初めてと伝わる新婚旅行、鹿児島県霧島温泉への旅である。
 バイクを返却しちゃってるから、もうツーリングとは呼べないけれど、旅の流れってことで “第二章”に進もうとしましょうや。
それではのちほど。。。



ご注意:“龍馬通り 第二章”はまったくバイクが出てきません。そのかわりさまざまな鉄道が登場します。そんなんでよろしければ、皆さまどうぞご覧ください。[6月下旬送信予定]




・・・ [ 第一章のおまけ ] ・・・






龍馬がニコリとする(ような気がする)極上のブーツ・・・試作 1号。


九州 龍馬通りの旅を終えてすぐ、あの龍馬の姿が脳裏から消えぬうちに私は紙とエンピツでブーツのデザインを描いたのである。
そして製作を依頼するリーガルコーポレーション本社に向かい、試作品の打ち合わせ。それからひと月半の6月上旬、第1サンプル完成。

龍馬、、、ということで、まさかあの材料を使うのではないか?
といった推測を持つ方はおられよう。そう、お察しのとおり、まさか、の高価な材料を使うのである。


※濃い茶色がコードバン、その他キップ牛革。


どうです、最初の試作品にしては素晴らしいデキじゃあありませんか。

さて、コードバン・・・この言葉を聞いただけで「冗談でしょ?」と思うなら、その美しい光沢のこの材質をよくご存知の方であろう。
なぜならキップ牛革も高価だけれど、その比ではないほどの高額材質。しかもそれは自分でメンテナンスを要す革で、手入れ不精な方は不向き、ときている。

それってライディングブーツとして必要なのだろうか? という疑問が湧くだろう。しかし必要か不要かなど考えてたらなにもできやしない。履いているだけで誰かに自慢したくなる・・・そんなブーツがあってもいいじゃないか、と思ったわけです。


R-07cブーツ、おそらく2パターンのツートンカラーで、早ければ2010年12月末、そう、クリスマスの頃に(少量)発売する予定。でも私は強くお勧めしません。同じ製法で、手入れ不精な方でも履ける実用的なR-01/02ブーツ(48000円)をラインナップしているから。だから少ししか作らないのですよ。

お勧めしない、と言いながら、龍馬さんもきっと気になるR-07cブーツ。もし皆さん興味が湧いてきたなら、究極のブーツ製作記“足元を固める”ページで2010年9月より詳しくご案内しますので、どうぞご覧を。




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