2010年3月30日 昼頃



 家山駅は、映画やドラマで昭和半ば頃の鉄道シーンのロケに使われるほど、昔ながらの駅。満開の桜をバックにしたこのローカルな駅のホームに、あふれんばかりの人波。ここで待っているのは私と同じもののようだ。そう、蒸気機関車。
 遠くでかすかに汽笛の音が聞こえる。近づいているようだ。汽笛の音が大きくなる。来た、来た来た来た・・・来た!


























 数分の停車のうちに、木造旧型客車がホームにいた人々を飲み込み、電気機関車に後押しされて走り去っていった。おっと、なぜ電気機関車が最後尾にいるのかを説明しよう。
 観光シーズンで乗客が多い場合の客車は7両。大井川鉄道の蒸気機関車は大型機ではなく、7両もの客車を引いて大井川をさかのぼることはできない。だから電気機関車のチカラが必要なのである。これを補機という。
 私は何度か乗っている。数年前に乗った時は、このC-10型より少しパワーのあるC-11型が4両の客車を単機(蒸気機関車のみ)で引いていた。それでも上り坂では、もう停まるんじゃないかという速度まで落ち、動輪が空転しながらあえぎあえぎ頑張って走っていた。そんな姿が魅力なのだ。






 鉄道ファンには“乗り鉄”と“撮り鉄”というのがある。乗るのか写真を撮るのか、ということだが、どちらかといえば私は“乗り鉄”である。だから短区間でもSLの引く客車に乗りたかった。この家山駅にちょっとGSFを置いてね。しかし満席で断念。ということで今日は“撮り鉄”に専念しよう。
 
 C-10蒸気機関車が走り去ったホームに人影はほとんどなし。やがて元・近鉄(近畿日本鉄道)の16000系特急電車、いやここでは普通電車が来て、数名の客が降り、静かに発車した。こいつだっていい電車なのに、だ〜れも写真を撮ってないんだな。私くらいのものか。この先も、来た電車を全部撮ってやろう。・・・ってツーリング紀行なのにバイクの走りの写真が撮れないのは、いつもと違って一人旅なのだから仕方がない。。。


桜と鉄道とオートバイを愛する者に悪い者はいない・・・かな。



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