2009年5月25日


ニッポンの魚! ※出だしは真面目で〜す。

 いきなり少々硬い話で恐縮だが、ドコサエキサエン酸・・・に聞き覚えがあるだろう。魚に含まれる栄養素だ。その効果は、視力を回復させ、メタボを抑え、脳を活性化する、人にとってはありがた〜いもの。特に脳の働きについては、海外の学者が1989年にこう発表していた。
“欧米人の子供と日本人の子供を比較すると、日本人の子供のほうが知能指数が高いのは、魚を食べていたことも原因のひとつだろう” と。
 しかしそれから20年経った2009年6月某日、日本経済新聞を開いたら「魚離れ加速、肉との差広がる」の見出しで記事が掲載されていた。水産庁のまとめによれば、統計可能な1949年以降で、国民は2006年で初めて魚介類より肉類の方の消費量が上回ったという。
 一方、世界的に見れば魚食は増加傾向で、魚は栄養素が豊富に含まれる健康食として注目を集めている、と文章は続いていた。おいおい、ニッポン人は肉食人種になるのかぁ?


 記事には日本人がアホになっている、とは書いてないが、ほかのメディアでは日本人の学力が諸外国に追い越されている、という情報は発信されている。もっと食おうよ、、、魚。
 確かに魚の調理は肉より面倒なのかもしれない。そして骨のある魚は、食うのにも手こずるだろう。そしてまた、いつのまにか魚より肉のほうが安くなっている。
 昔はなあ(昭和40年代半ばまでの私)、鶏のモモなんて誕生日とクリスマスの日しか食えなかったし、牛肉のステーキ(たしかビフテキとか言ってた)なんか、食った記憶さえない。カツ丼もそうだ。でも現在はどうよ、フライドチキンだろうが牛丼だろうが、昼飯で食えるようになった。いったいどうなっちまったんだ。海に囲まれた島国のニッポン人なのに、魚を忘れようとしてるのかぁ? それはいかんよ、魚は旨いのだよっ。調理が面倒でも、少々高くても、草(サラダともいう)と魚を食っておれば、健康で骨のある者に育つのだよ! 以前、我がニッポンの総理大臣も言っていたじゃないか、「骨太の方針」ってね。(たぶん意味が違うと思う)
 ……ということで、この“伊豆遊び”第3部は、ほんとうに旨いサカナの話をしようと思う。そして魚をたくさん食ってDHAを体内に入れて、頭のいいバイク乗りになろうじゃないか! ・・・いや〜ぁ、なんと知性と教養のあるサイトなのだろうか、、、。


下田市外浦海岸に到着

 前編に引き続き、乗って来たのは豪快なVマックス、そしてカミさんは二人分の着替えや、カメラ機材やらを一式運ぶための250スクーターフォルツァ、荷物車代わりである。そして坂上カメラマン、軟弱にもクルマで同行。しかも無情にも翌日は仕事があるとかで今日先に帰るという。このビッグマシン誌連載(&当HP)だって立派な仕事じゃねえのかぁ? 私は遊びだけどな。

 上のカッコつけた写真でもうお分かりだろう。ゴルフ道具じゃないよ、釣り道具。この格好でひと頃はずいぶんと東京湾にかよった。しかしその帰り道、羽田空港周辺で検問に出会うと必ず停められ、まずは「バッグの中を見せて」と。
 国家権力に逆らってもしょうがないのでバイクを降りて素直にファスナーを開けば、
「なんだ釣り竿かぁ」
 なんだはねえだろっ、これがバズーカ砲に見えるか、ってんだ。でもこれで終わらない。次に後ろのクーラーも。
「なんだ氷だけかぁ。ダンナさん、魚は?」
 あんた今、笑ったな、余計なお世話だってんだ。たまたま釣れなかっただけだっつうの。
 ……てなことがあるわけで、、、。


旨い魚が食えるのは、釣り人の特権である。

 魚を語るには、まず釣った魚をご覧に入れて、その超新鮮な味をお伝えしなくてはならない。
 さて、豪快なVマックスで豪快に釣ろうと、下田市内はずれの外浦海岸に着く。昨日まではこのバイク、馬より俊足の牛かぁ?と思っていたが、海岸線を走っていると、これはクジラ、いやいや泳ぎが速いシャチではないかと。いずれにしてもどっしりとした安定感ある走りだ。もうちょっと荷物が積めれば申し分ないけどね。

 国道沿いの釣具店でエサ、そして氷を買う。領収書をもらうなどケチなマネはしない(ビッグマシン編集部が出してくれるとは思えないから)。これで準備完了。おっと、コンパクトデジカメをライディングベストに入れておかなければいけない。釣った魚をバシバシ撮っておかなくてなね。

私のツーリングには常時愛用しているライディングベスト。時には一眼カメラ用ストロボやレンズを入れていることも。そして釣りにも大活躍。
◆ほしくなってしまった方はこちらへ >>


 外浦海岸、そこには伊豆に来ると必ず立ち寄る万宝(まんぽう)というヒモノ屋がある。たいへん不幸なことに、釣りにはまったく興味のないカミさんと坂上カメラマン、その二人は店に預かっててもらい、私はひとりVマックスで海岸に向かう。
 この日は風があり波も荒いが、私のような名人の域に達した釣り師には、魚にちょうどよいハンディを与えているようだ。悪条件など私の釣りには関係ない。
 狙う魚はキス(白ギス)。それも刺し身にできるような25センチクラスの大きなキスだ。淡いピンクが白っぽい魚体にうっすらと輝く細長く美しい魚である。その白身の味ときたらたまらない、言葉に言い表せられないほど上品なのだ。そういえば万宝のオヤジの息子、勇一君が言っていた。
「昔は大きなキスをヒモノにしてたみたいだけど、今は漁が少なく値が張る高級魚だから、仕入れも販売も困難で……」
「じゃあ、俺がササッと釣ってくるから」
 ということで万宝親子に刺し身+ヒモノをご馳走しよう。

万宝の勇一君「最低このくらいのキスを釣ってくださいな」・・・私を誰だと思っているのかね、名人だよ、名人!

 まあもし20センチ程度のキスでも天ぷらが旨い。我が家ではスーパーで売っているいったいどこの国のキス?だか分からない魚はぜったい買わない。魚屋のキスだって買わない。なぜなら、私がいつも釣ってくる超新鮮なキスの天ぷらの素晴らしい味を我が家族は知っているからである。



 ……そうこうして釣り糸を垂れること1時間が経過、まだ一匹も釣れない。みんなに大漁のタンカを切ったものだから少々焦る。こうなると釣り人の悪いクセで、何かのせいにする。海の底で悪いことが起きてるんじゃないかぁ? エサが悪いんじゃないかぁ? いや今日はサカナがいないんじゃねえか?この海岸に。
 ヤバイ、ほんとうにヤバイ。ボウズ(釣り用語でまったく釣れないこと)確定が近い。こうなったら魚屋にでも行って買ってこようか。いやいや、万宝のオヤジは、直前に釣った魚か、魚屋の魚かのちがいなど一瞬にして見破るだろう。
 ケイタイが鳴る。カミさんからだ。
「坂上カメラマンが用があるって。ところで釣れたぁ?」
 今から本気出そうと思っていたのに、これからの時間がすごく釣れる予定なのに、仕方がない、そろそろ撤収しよう。




撤収直前の一匹。しかしオマエじゃないんだな、なんでこんなカラフルなんだ、ここは沖縄かぁ?白いのはいないのかぁ?、キスはぁ!



 万宝の店先にて……「釣れたぁ?」「どのくらい釣れましたかぁ?」「釣れたっすかぁ?」誰もが聞いてくるその言葉に笑ってごまかす。その直後、あろうことかカミさんが私のクーラーをパカッと開ける。
「あれぇ〜? 氷だけだぁ!」
 余計なお世話である。
豪快なVMAXで豪快に釣る予定だったが、、、。

<< 戻る 第2話へ >>