第4話 2007年10月24日


 今日は出張の最終日。とはいっても、仕事してるのか?と聞かれれば困る。しているような、していないような。でも、某メーカーの工場をご挨拶に行ったり、試作品を使ったり、製品をご案内したり、と、やはりこれは仕事にほかならない。そう思ったほうがなにかと都合がよい。

 朝起きてビジネスホテルの窓から空を見ると、真っ青。初日こそ多少の白い雲を見たものの、昨日からはまだ雲を見ていない。ず〜っと青空の下。なんだか仕事をしている皆さんには申し訳ない気分で、いや、正直に言おう、こんな天気に仕事なんかしてられっか!といった気分で米沢の街を南、会津方面に走り出す。口ずさむ唄は当然“青空”、ブルーハーツだ! ギター持ってくればよかったなあ(ウソ)。

 米沢からの30分間の風景、紅葉の気配はまったくない。ちょっと心配しながらの走りで白布(しらぶ)温泉を通過。そのすぐの天元台ロープウェイで小休止、とともに寒がりなカミさんの防寒仕様に衣替え。そして周りを見渡すと、なんとなく、の紅葉。 
南に走り、徐々に標高を上げるが、周りは針葉樹の深い緑。


防寒グローブに靴下用ホカロン、そしてカラダにもホカロンを貼り付けるカミさん。気温10度程度で大げさな装備。 私の場合、グローブは一枚革の馬鹿(うましか)、ジーンズはヒョウドウ社防寒デニム・・・これで十分。


 「気温10度でも、私の体感気温は0度、ほかの人より10度低いんだからぁ!」 と言うカミさん、防寒グローブ・ホカロン攻撃だけでなく、ネックウォーマー+ジャケット内側は防寒サンステートライナー、革パンの中は防寒アンダーパンツ。 ・・・ほんとに0度の中を走るような重装備である。で、夏の暑さには強いのかと言えば、さに有らず、「体感気温は5度高い」そうだ。
 我が家にはクルマがない。車内温度25度に一定調節できる現代の快適なクルマを知ったら、きっとバイクに乗らなくなってしまうのではないか、と思う今日この頃である。


 天元台ロープウェイ登り口は紅葉が始まっていた。だがグリーンとイエローのまだら模様で赤い色がほとんどない。やはり赤やオレンジがないと魅力に欠けるものだ。
 カミさんの防寒仕様も済んで出発すると、すでに西吾妻スカイバレーを走っている。ワインディングを楽しむには一級の道だが、目的は紅葉。山の木々を見ながら、ゆっくりと峠に向かって上ってゆく。猿と並走しながら。。。





 白布温泉あたりの標高は約900m、そこから上がれば上がるほどに、まわりの木々の葉はオレンジ、そして赤が多くなる。
 昨年のゴールデンウイーク時の旅では、除雪車が作業していたほどで、まだ融けてない雪が、道端に大量に残っていた。緑の木々さえほとんどなかった。もっとず〜っと寒かった。
 5月初めの色の印象は“白と茶”。そして今は、“グリーン、イエロー、オレンジ、レッド”のグラデーション、それに真っ青な空が、より鮮やかに映し出す。やはり秋だね、秋が最高の景色だわね。全速全開で飛ばすなどもったいないほど美しい。

標高1000mあたりを通過。



オレンジや赤が徐々に増えてくる。


 標高1200mくらいだろうか、この辺りが紅葉のピークをむかえている。上空を360度見渡しても雲ひとつない真っ青な空。そして鮮やかな色彩の山々・・・まるで絵のようだ。
 この景色、独り占め(カミさんと合わせて二人占めか)ではもったいない。私のヘボ写真で申し訳ないがおすそ分けしよう。








これがほんとの“青空”なのです。




紅葉した山の向こう側に遠く望むは米沢盆地
























美しすぎてコメント不可能




峠近くの名所 錦平の紅葉ピークは過ぎてしまったが、それでも見事。






福島県側を見渡す。桧原湖の山の向こうの雲海の下は会津盆地。



 ど〜です。ニッポンの秋ってのは、たいしたもんじゃあございませんか。これだから紅葉の旅はやめられない。

 西吾妻スカイバレーの頂上、標高1404mの白布峠は、山形県と福島県の県境。そこからの眺め、シンジラレナァ〜イ!(日ハム、ヒルマン監督の言葉を無断借用)ほどの絶景である。雲ひとつない真っ青な空、赤く焼けた紅葉の山、雲海のおまけ付ではるか100キロ以上も離れた遠くの山々まで見渡せる。ん?かすかに見える三角形の山、もしかして富士山かぁ?、直線距離で300キロも離れているがぁ。 ・・・ここは過去に5回ほど来ているが、こんな超ド級快晴の日は初めてだ。

人の世もツーリングも、雨のち曇りのち晴れ、の繰り返し。快晴なんてめったにない。白布峠にあった碑の前で、カミさんと。


 白布峠からの景色をなごり惜しみながら、福島県に入り、スカイバレーの急坂急カーブをゆっくりと下る。

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