2006年11月15日 送信

 “サーキットも走れるツーリングウエア”・・・これは長いので、ここからは仮の名を“PHR”としよう。
 さて、どういう趣旨のものを作りたいかは理解していただけたかと思うが。問題は、どうやって作るか、である。それにはレーシングスーツを深く知らなければ、きっと出来ないだろう。ヒョウドウ社と違って、それを作っていない弊社は、技術的にも、経験的にも不利だから。

 そんな時に、サーキット好きな我が息子と、ツーリングページ“ある親子対決”で登場したダイスケの二人が、レーシングスーツを作りたいと言ってきた。
 「お〜、それならHYODがいいぞ! 浜松に行きな! え?、ローン?、ぜ〜んぜんOK!」
 渡りに船、カモがネギ、、、というのはこのことか。弊社にHYODのレーシングスーツがないから困っていたところにグッドタイミングである。


我が息子の三橋雄22歳(左)と大型店ライコランドに勤める自称“単車オヤヂの息子、森大輔20歳(右)。前者は中央、後者は明治の共に現役大学生。(2006年11月現在)

 考えてみたら、息子はクシタニさんとタイチさんのオーダーメイドレーシングスーツ計2着を持っている。それは2003年、弊社20周年記念として撮影用に特別に発注したものだ。しかしやはり、カラー指定した自分流のスーツがほしいのだろう。高額なおカネを払ってでも。(そんなカネあるなら、学費自分で払え)
 いっぽうダイスケ。今までのサーキット走行はレンタルスーツだが、オヤジがいる大型店ライコランドでもHYODレーシングスーツは取り扱っている。家族割引とかで(そんなのあるのか?)多少は安く買えるだろう。にもかかわらず浜松まで行って、ハンコ持って、ローンで作る。
 ま、どちらもアルバイトで払う自分のカネだし、双方のオヤジはいっさい援助しないので文句は言えまい。(こいつら勉強しているのだろうか。それが心配だ)

 こうして大学生だって小銭貯めて、ハンコ持ってレーシングスーツを作りに行く。最近少ないなあ、若者もオッサンもこの手の“粋”が。 「いろいろ生活の事情ってもんがさあ、、、」 な〜んて言葉が男の“粋”を消してゆく。
HYODスーツは男33サイズパターン、女9サイズパターンがある。オーダーメイドはその中からベストサイズをチョイスし、自分流を作る。


ヘルメット、マフラー、「セール」という字にも目もくれず店の奥へと進む。 目的のレーシングスーツのコーナーにたどり着き、まだ買ってもないのに笑顔。

「お前ら学生のぶんざいでオーダーなんか10年早いだよぉ!」とはぜったいに言われてないが、とにかく熱心に教えてくれる今日の担当、鈴木氏。




 今回の企画“PHR”ウエア。サーキット走行を重要視するならMFJ公認は欠かせない。しかしその公認ウエアとなると、ツーピースといえど、すでに公認を得ているHYODワンピースレーシングスーツとは、そのスタイルも、フィット感も、機能性も、そうたいして変わらない。それならワンピースでよいということになる。
 逆に言えば、ある程度ルーズフィットで歩きやすく、大人しいデザイン。そして上着だけ、パンツだけでも愛用できる利便性を追求すれば、間違いなくMFJ公認は得られないだろう。
 カラーリングだけをやや大人しくしたツーピースで公認を得るか、デザインはある程度自由度はあるが、過激には走らないサーキット走行会仕様で公認を得ないか、、、。二つにひとつしか選択の余地は無い。
 レーシングメーカーではない弊社ペアスロープは必ずしもMFJ公認の必要性はない。しかしヒョウドウ社の考えは異なるだろうと想像する。さあ、どうしたものか、、、。
数あるサイズの中からベストサイズを試着。これから寸法調整に入る。


専用のライディングマシンで、前傾姿勢に無理がないかをチェック。

ヒザの位置が合っているか、足が開きやすいか等々。

背幅、特に肩のプロテクション位置が合っているだろうか。 ソデ丈は、長すぎても短すぎても、ライディングに影響する。

昔のレーシングスーツは、こんな(アホな)動きができなかった。シャーリングや繊維部分使い等の進化で、現在のHYODスーツはこうなる。・・・意外にも、革ジャン・革パンよりも動きは良い、、、が、歩くのは苦手。


 十分にサイズチェックされた二人の大学生達、こんどはカラーリング、ネーム、数々のオプションを選び、仕様書を作り上げる。その作業のほとんどはパソコンで行い、プリントアウトして書類完成。
 上記作業であ〜だこ〜だと迷っていては時間がかかるので、二人はあらかじめHYODホームページから自宅で作成したプリントアウトを持参している。
 ん〜、弊社の革ジャンオーダー仕様書は、全て紙に手書きの本格的アナログ。対してヒョウドウ社は最新デジタルシステムで対応。同じ製作工房を持つメーカーでも違えば違うものだ。
 なお、二人が注文したレーシングスーツは、猫に小判か、なんとかに真珠か、こともあろうにHYOD最上級バージョンを選んでいる。レースに出るわけでもなく、走行会程度で、あきらかにオーバーキャパではあるが、そんなバイク乗りの“見栄”も、近ごろ少なくなった。けっして悪いことではない。
※オーダースーツの納期は2〜3ヶ月とのこと。
仕上がりのイメージをパソコンで表示。



カラー指定されたパソコン画面。




23万円のローン用紙に印を押すダイスケ。
「月々1万2千円程度なら、バイトで楽勝っス!」
とは言いながら、
顔がヒキツッてるんじゃないのかな。。。





こいつは今までコツコツとバイトで小銭を貯め、キャッシュで支払い。
なお、二人とも自腹のレーシングスーツは良いのだが、共にバイクはオヤジの所有物。いつもぶっ壊されるばかりなので、バイクも買え!

 こうしてオーダーメイド レーシングスーツの注文を終えた。おかげで弊社ペアスロープは1円も使わずHYODレーシングスーツの勉強ができ、このようなサイトも発信できるわけで、なによりである。
 えっ?、若者をそそのかしたんじゃないかって? いえいえ、彼らが作りたかったのは本心ですぞ。
 ただ、HYODレーシングスーツを着れば、「カッコよくなる。モテる。速くなる。(かもしれない)」と言ったような。。。

 
第2話 おしまい



これまた学生のぶんざいで“うな重”か。しかもこれ、どう見ても“並”ではない。
ダイスケ!お前さんのオヤジ、これ見たらきっと泣くぞ!
「俺んとこの店でスーツ買わないで、しかも“上”喰って帰るかぁ? 親不孝ものめぇ!」
しかし浜松のうなぎ、ほんとに旨いんだなあ、これが、、、。


 第2話は、なんだかHYODレーシングスーツとウナギの宣伝サイトみたいになってしまい、ペアスロープの販売促進にはまったく役に立っていない。
 次回は、彼らの出来上がったレーシングスーツをじっくりと眺めて、本題の“PHR”作りに入ろうかと、、、。

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