2013年6月6日


 気仙沼の屋台村では、旨い酒、つまみを堪能した。しかし観光客の姿はほんのわずかで、どこの店もガラガラ状態。平日とはいえ、もう少しお客さんが集まってくれたらなあ、と感じる。各店のスタッフは我ら観光客を歓迎してくれるのだけど、今の状態では宿泊施設が非常に少ないので仕方なかろう。

 さて今日はついに三陸の旅も最終日。気仙沼から南三陸、女川(おながわ)を通り、仙台から東北自動車道で東京に帰る予定である。





久慈より三陸海岸線を南下。



フォト:坂上修造
 朝、情緒ある旅館“金港館”を出て向かったのは気仙沼の港。湾内は漁船の行き来で、活気があるように見える。
 「〇〇丸さ~ん、湾内は徐行してくださ~い、聞こえますか~、〇〇丸さ~ん、〇〇丸さ~ん!」、海上保安庁の船が寄り添って何度も何度もマイクで警告するが、シカトして太平洋に向かう漁船。あんなデカイ音量で警告しているのだから聞こえているはず、船員が日本人ではないのか、もしくは、豪傑な漁師なのか・・・。

 ボケ~っと漁港を眺めて、そしてダラ~っと走り出す。と、そんな余裕はないのだ。今日も寄り道をしながら、500キロほど先の東京に帰らねばならないのだから。






気仙沼を南下。

駅にご挨拶、JR気仙沼駅。

なんだか仮設みたいな道の駅である。
道の駅 大谷海岸、ここで小休止。

なんか食ってる。

 国道45号で気仙沼市を南下し、海岸沿いに出たところにこじんまりとした道の駅“大谷海岸”がある。私は道の駅が好きなので立ち寄る。
 カミさんはさっそくソフトクリームを食う。きざみイカでものってるのかぁ?と見たら、そうではないらしい。
 日本全国ご当地ソフトは数多くあり、かなり高い確率で食うが、ふかひれソフトは初めてだ。私もひと口入れたが、その味はよくわからん。なんか、無理やりフカヒレ入れた、って感じかな。


道の駅にはJRのBRT大谷海岸駅が、、、。
道の駅の裏側・・・!

※BRT(バス高速輸送システム)
JR鉄道が不通の為、一部の線路をアスファルト舗装し、BRTバス専用とした仮復旧の運行システム。高速で走行するわけではない。

 道の駅の裏手に回ったら、そこはJR気仙沼線のホームだった。線路は残されているが、ホームの前後で途切れている。またかぁ・・・その姿を見るのがつらくてねえ。。。


3日前の東京駅
 3日前を思い出した。次々と到着する新幹線から人々がホームに降り、そしてこれから旅に出ようとする笑顔の人々を乗せて新幹線が発車する。気仙沼線のこの駅も東京駅も同じJRの駅。なのにこの差はなんなのだろう。
 私は新幹線よりもローカル線のほうが好きである。乗降客が少ないのは仕方ないことだが、しかし線路が寸断されている光景は「悲しくてやりきれない」。(フォーククルセダースの曲が思わず脳裏に・・・かな~り古い名曲)






南三陸への重苦しい光景。


南三陸の街まで、あと30分少々だな。

国道沿いのJR BRTバス停。

ちょっと海岸沿いから離れれば、軽快な道。

こちらの駅の先は、線路ごと津波にさらわれている。



気仙沼線の橋脚・・・これでは走れない。

BRTバス停の向こうには無残な姿の気仙沼線の駅。

高台の駅は無事なようだが、駅前には何も無し。

国道は復旧しても、鉄道は・・・。


 昨日のJR山田線同様、海岸線に沿って走るJR気仙沼線もそうとうな津波の被害を受けており、しかも、国から援助されない鉄道であるから復旧するのは絶望的だろう。だからBRTバス輸送、なのかもしれないが、やはり鉄道だ! と思うのは鉄びいきかな。

南三陸町。



 津波の被害を受けた海岸沿いの街はどこも同じような風景、この南三陸町もガレキ処理されて、ずっと先まで見渡せる。 ・・・いかんいかん、暗い気分ではいかん。この旅は復興へと頑張っている明るい三陸をご案内しなくてはならんのだ。

 “南三陸さんさん商店街”に向かう。タンクバッグの地図を見ながら、国道45号と国道398号の交差点を右に・・・街外れまで来てしまった。地図には確かにあるのだが、そんな交差点が見当たらなかった。常識的には、国道同士の交差点なら標識がある。でも無い。信号機もあったっけ?
 地図が役に立たないので地元の方に道を尋ね、突然のように現れるカンバンを頼りに国道398号線沿いの復興商店街へと向かう。





キラキラしたのを食うぞ。



 BRTのJRバス停もある“南三陸さんさん商店街”に到着。駐車場には大型バスから乗用車まで、満車に近い状態だが、残念ながらバイクは私一人。バイク乗りとして、ちょっと寂しい。

 ここは震災から約1年後の2012年2月末にオープンした仮設商店街で、30店舗ほどが連なる。野菜や精肉、床屋に美容院・整骨院、衣料に電気屋、文房具といった生活の為の店舗、そして飲食店も5軒ほど備える。どちらかといえば地元住民の商店街だが、観光客にも人気があるようだ。お土産になりそうな物が豊富にあるし、なんたって食事が頼もしいのだ。まあそれはあとで、ということで、先に各店舗を覗いてみよう。

“もんぺ”って、動きやすい最強のパンツですなあ。

これなら持って帰れるから購入。
私の好物。特に頭。買いたいけど我慢。

坂上カメラマンも土産の品定め。


 午後1時を少し回っている。腹が減った。となればお待ちかねのアレを食うしかない。キラッキラのアレである・・・・・・・。



ここのシンプルなうに丼にしようか。


昼なのでアルコール不可の食事。
 南三陸町内では飲食店が競うようにうに丼を提供している。その名は“南三陸キラキラうに丼”。
 この商店街にも5軒あり、特設ステージに各店舗自慢のうに丼の写真を掲載しているが、さてどの店のにしようか迷うったらありゃしない。どれもが旨そうなのである。
 そんな時はシンプルな見栄えを選ぶのが私流。よくあることだけど、迫力ある写真やサンプルで入って、実際に注文したら「ちがうんじゃねえの!」ってね。(あとで他の店のうに丼を覗き見したが、ほとんど写真と変わらなかった。各店舗、インチキ無しだ)

 私はもちろんうに丼を注文。しかしカミさんは海鮮丼で坂上カメラマンは刺身定食。ここに来て、なんでうに丼を食わないのか信じられないのだが、坂上カメラマンいわく「ウニって旨いの?」。ホヤといいウニといい苦手らしい。でもせっかくだからカメラマンにうに丼の写真を撮ってもらおう。ま、他のお客さんも多いから、ストロボ使わずの自然光写真だけど。




フォト:坂上修造


坂上カメラマンの刺身定食¥1200円

私のうに丼とカミさんの海鮮丼、共に¥1800円



ウニびっしりですなあ・・・旨いんだなあ、これが!(タコ刺し付)







女川(おながわ)・・・地名につられてさらに南下。

国道398号を国道45号に向かって。



ガソリンを入れる若者。頑張ってなあ・・・。
 旨かったなあ、うに丼。タコ刺し付で1800円なんて、東京ではそう食えるもんじゃあないからねえ。あんなに旨いウニなのに、なんで坂上カメラマンは「それって食い物?」なんて言うのか、信じられねえよなあ・・・なんて思いながら南三陸さんさん商店街をあとにした。
 国道398号を海に向かって走り、国道45号の交差点に。あっ、やはり信号がないじゃないか。これじゃあ通り過ぎるわけだ。

 ガレキ処理だけは終えようとしている国道45号線沿い、その街外れに屋根もないガソリンスタンドが目に付く。そしてポツンと若者が一人、暇そうにお客を待っている。ゼファーのガソリン計を見ると、まだ半分近く残っていたが、なんだかそこでガソリンを入れたくなり即座に左折。ゼファーは10リッターも入らない。でも同行のバンは30リッター近くは入れたようだ。これで少しばかりだが、今日の売上に貢献できただろうか。・・・こんなふうに思ってガソリンを入れたことは今までにない。


国道45号を離れ、国道398号で女川に向かう。

最上川を対岸に渡る。ここもダンプ多し。

よそ見したら川に落ちる国道398号。

女川の町はダンプばっかし。

グリーン部分は屋上。津波でひっくり返されたビル。



左には河口近くの最上川。

標識も路上灯も曲がったまま。

女川町に入る。

なんなんだ、あれは?

カキ養殖が名産の万石浦。


 女川(おながわ)という地名だけで興味本位に向かったわけで、実際にそこに着いてみれば、それはそれは悲惨な光景が目につく。本来の女川はそうじゃないだろう。きっと美しい街なのだろう。いやそうに決まっている。きっといつの日か魅力的な街に戻り、その時はまた訪れよう、と思いながら街をあとにする。





最後までゆるめますよ。


 万石浦沿いの国道398号を走っていると、“マリンパル女川 おさかな市場”がある。ここも復興市場で、それならばということでサイフのヒモをゆるめることに。

う~ん、他にお客がいないようで。
入口には果物屋が。

 サイフを握りしめて市場には入ろう・・・としたのだが果物屋の真っ黒に日焼けしたオジさんに呼び止めれれた私とカミさん。
 「あのぉ、このデコポン(オレンジみたいなの)、一皿1000円だけどさぁ今日は二皿1500円でいいやぁ」と言いながら、我らは見ているだけなのにさっさと袋に入れて「はいっ」とカミさんに手渡す。買うって言ってねえじゃん、だいたい我らはサカナを買いに来たし、と思うが、まあいいか、とカネを払ってしまう。少々強引だが、なんだか憎めないオジさんだ。

市場には豊富な魚介類が。


旨そうな名の貝なので購入。。
安いんだろうなあ・・・。


生きてるのだ・・・購入。


おさかな市場の前をJR石巻線のキハ48気動車が走り去る。




JR東日本 仙石線のラッピング205系電車
 発砲スチロールにぎっしり氷を詰めてもらい、魚介類の土産をクルマに詰め込む。そういやクルマ同行だったのだから、南三陸さんさん商店街の「タコ」も買えたんだなあ、と悔やむ。

 さてこの三陸の旅も終わりを向かえた。この先の石巻(いしのまき)からは三陸自動車道、仙台東部・南部道路を経て東北自動車道に合流し、400キロ少々先の東京の自宅へと向かうのだ。
 とはいえ腰を痛めたカミさんはバンの長時間移動が辛いので、途中にあるJR仙石線の駅で降ろし、石ノ森章太郎原作のド派手なキャラクターラッピング電車で仙台へ向かい、新幹線に乗り換えてビュンと帰る。う~ん、ここからはカメラマンのオッサンと二人旅だな。ま、サービスエリアのソバでもすすりながら、のんびりと帰るかな。
・・・おわり





この旅をふりかえれば。

[フォト:坂上修造]
スーパーこまちは素晴らしい新幹線だった。
雫石牛は旨かった。
岩手山周辺の景色は素晴らしかった。
自衛隊は騒がしかった。
三陸海岸は美しかった。
海は真っ青だった。
三陸鉄道は頑張っていた。
震災の爪あとを見るのは辛かった。
運行できないJRローカル線は悲しかった。
ホヤは旨かった。
ウニも旨かった。
三陸の人は優しかった。
岩手県のポリスには残念な想いをした。
 ・・・やはりバイクの旅は愉しかった。

 バイクと鉄道、少々トンチンカンな妙な旅ではあったけど、いかがでしたか。
 皆様、興味本位でもいい、食い物目当てでもいい、なんでもいいから三陸に足を運んでみませんか。宿や道路(岩手県警含む)の多少な不便はあるけれど、一人でも多くの人が行き、飲んで食って遊べば、少しかもしれないけれど、それが地元への援助となるのです。三陸の方々はあんなに辛いことがあったのに、笑顔で迎えてくれるんですよ。・・・ぜひ。


[フォト:坂上修造]


[参考までに各サイトご案内]

ローカル線から新幹線まで、,素晴らしい鉄道会社 JR東日本
50歳からのJR東日本の鉄道旅なら 大人の休日倶楽部
牛乳が旨いらしい人気の農場 小岩井農場
2013年が旬、じぇじぇな道の駅くじ やませ風土館
頑張って走っております 三陸鉄道
宮古に泊まるなら、遊ぶなら、食べるなら 宮古観光協会
安くて旨くてありがたい仮設食堂 よってったんせぇ
釜石で食事をするなら 釜石はまゆり飲食店街
気仙沼に泊まるなら、飲むなら、食べるなら 気仙沼観光コンペンション協会
ここでうに丼を食べましょう 南三陸さんさん商店街
安くて新鮮な魚介類を土産に マリンパル女川おさかな市場
・・・サイフのヒモをゆるめましょう 復興商店街を巡る旅




三陸海岸で購入したお土産  ・・・なんだかずいぶん買ったようだ







ひとつ気になっていることがある。上記サイフはこの旅のために、弊社あさま工房であわてて作ったのだが、本来はお見せできるデキではない。デコボコと段差がありひどい見てくれだ。
・・・なので名誉の為、翌月あらためて作ったのが下の写真のサイフ。どうです、見事な仕上がりでしょう。





このデキなら三陸の旅のためだけではもったいない、と思い、このサイフを販売することにしました。ただし受注生産品。そしてコストダウンなんどまったく考えず、外側には馬革と鹿革(印伝)、内側は高価なフルタンニン牛革仕様。
普通のサイフの内側の見えにくい部分には、繊維生地を使っているものがほとんどだが、そんなケチなまねはしません。全部革ですな。・・・コストダウンしたサイフには、入ってくるお金もダウンするってわけです。
お金が居心地良いサイフ、、、ガンガン入ってくるのです。(でも使わないといけませんね、三陸のような所でね)
By H.Mitsuhashi
※サイフは2013年9月中旬にご案内します。



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