2009年8月15日

 晩の酒の肴(さかな)は調達した。あとはこの地域で良く食されている“馬刺し”があれば申し分ない。
 しかしちょっとまてよ、お盆の期間中というのは生き物を食ってはいけないのではなかったか。佐久にかよってかれこれ二十数年、そう教えられてきた。それをすっかり忘れていた。だから昨晩の晩飯にも植物系以外のオカズはいっさいなかったのである。
 しかし「ほんとうはダメだけど、東京の人だし、あまり固いこといってもねえ」とカミさんの実家でも言うことだし、ならばということで、お気に入りの肉屋に馬刺しを買いに行く。

長年かよっている肉屋。牛肉も旨いが、ここの馬刺しは食うたびに嬉しい。
気になる人へ・・・肉のやまぐちHP >>
 
 おっといけねえ、なにかひとつ忘れていたと思ったら、毎年お盆恒例である案山子(かかし)巡り。馬刺しついでに案山子も探しに出掛けよう。娘を連れて。
 佐久平という別名もあるだけに、佐久地域には田んぼが多い。しかし10キロ、15キロと走り回っても、いまやカカシはそう簡単には見つけられない。あきらめかけてカミさんの実家に帰ろうと走っていたら、、、いたのである。





 W650を道端に停め、その横にうしろを向いている女カカシ。バイクを降りてカメラを向けたら、あれっ、横向いてたっけなあ、、、? そしてシャッターを押そうとした瞬間、こちらを向いた。・・・動くんだぁ、この女カカシはぁ。よくよく見ると、ほかの3体のカカシたちも動いている。
 そばでこの田んぼの世話をしていたジイさまにお願いして、すぐ近くでカカシたちを撮らせてもらう。ジイさまの説明によれば、脇を流れる水路の水で、ちいさな水車が回り、その動力でワイヤーでつながれたカカシが動く、という手の込んだ仕掛けになっていた。いやいや、立派なものだ。

おっと、前をごめんよ〜 とは田んぼのジイさま。 さっさと撮らないと、後ろ向いちゃうんだな。








お盆の夜。
 今夜はお盆のオキテ(全国的なのかは不明)をやぶってニジマスの塩焼きと馬刺しが酒の肴だあ。外からは誰かがやってるロケット花火の音、ピィーーーパァン! もう東京では聞かれない。そしてまた聞こえてきたのは盆踊りの太鼓の音。すぐ近くの駅前広場でおこなわれているので、ほろ酔い気分で見に行く。

JR小海線 臼田(うすだ)駅前の盆踊り。標識の一番上、龍岡城五稜郭は、日本で二つしかない星型の城跡。その中にある小学校はカミさんの母校である。


臼田駅前メインストリート。クルマも人もほとんどなし。 射的。子供達の(大人もか)楽しみのひとつなのだ。 おいおい、景品まで20センチの距離もないぞ。外すわけないよな?

踊っているのはたったの数人。う〜ん、なんかなぁ・・・。



 10年ちょっと前までは、我が家の3人の子供らもこの盆踊りには加わっていたものだ。その頃のヤグラの回りには二重三重の踊る輪ができていたと記憶する。しかし現在、街の青年団の方々が一生懸命頑張っていても、盆踊りの参加者はさみしいかぎりの人数。
 ・・・この先大丈夫かぁ?ニッポンの盆踊り〜。。。




 なんだか物足りない、さみしい気分でカミさんの実家に向かって暗い夜道を歩く。盆踊りのバックコーラスには田んぼのカエルが元気で鳴いている。そして遠くで威勢良く上がる千曲川の花火。
 ・・・ニッポンのお盆という伝統文化、そう易々と消え去るものではない。まだまだこれからなのかもしれない。つづく限り、毎年オートバイでこの地に訪れ、見守ってゆこう。
[夫婦坂二輪旅]




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