2009年8月14日

 つい10日ほど前は四国に行き、讃岐うどんをハシゴした。まだその味の余韻が少しでも残っているうちに、信州の蕎麦と食べ比べてみようと戸隠に向かう。
 佐久市は長野県の中央東側に位置する。さて、我らは上信越自動車道佐久インターから北上、2台のツインでひとっ走りだ。

後ろに乗せた娘にカミさんを撮らせる。向こうに見えるは八ヶ岳連峰。


 長野市を過ぎたあたりで渋滞情報の電光掲示板が。まあお盆時季だし、ETC1000円日だし覚悟はしていたが、関東から遠く離れ、日本海側まであと少しの山の中で渋滞10kmとは。クルマの皆さまご苦労さん、とすり抜け開始。しかしすり抜け苦手のカミさんに合わせ、速度は40km/hとドン速で通過する。

トラックがほとんどいないのですり抜けしやすいが、その速度40km/h。


 上信越自動車道を信濃町インターで降り、県道を戸隠高原に向かう。その道沿いには何軒もの“焼きトウモロコシ”屋が、あの香ばしい匂いを撒き散らしている。クルマなら匂わないだろうが、バイクはそうはゆかない。こっちおいで、と匂いで誘うが蕎麦の前にモロコシを食うわけにはゆかない。おそらく蕎麦がモロコシ味になっちまうからねえ。
 渋滞こそない県道だが、交通量の多いなかを前のクルマの流れにまかせて標高を上げてゆくと、戸隠神社の参道前に着いた。駐車場待ちのクルマで大混雑しているが、せっかくだからとバイクはそこらにちょいと置いて神社へと歩いて向かう・・・のだが、なんと人が多いことか。しかも神社まで2キロちかくある。参道入り口の大きな鳥居をくぐったところで我らバイク乗りは挫折。歴史ある戸隠神社を見ることなく、戸隠蕎麦の店探しにバイクにまたがる。


ここで馬をおりろ、ってことだろう。(だれでも分かるわな)




信州戸隠の蕎麦 vs 讃岐うどん



 県道沿いの蕎麦屋はどこも店の前まで人が並んでいた。べつに並んでもよいのだが、そこが旨いかどうか分からないのに並ぶのはいやである。
 さてどうしようかと悩み、娘の戸隠観光ガイド本を見ていたら、県道からちょいと脇道に入ったところに蕎麦屋がある。そこなら歩いてくる人は少ないだろうと店の前に着くと、やはり並ぶ人は見あたらない。よし、ここで食うぞと店に入れば、店内に5〜6人並んでやがんの・・・。
 四国讃岐うどん店のそんな人数なら3分と待たないが、蕎麦屋で待ったのは20分少々。でもやっとありつけるのだ、戸隠の蕎麦を。いちど食ってみたかった、この地の蕎麦をね。
 カミさんと娘は天ぷら蕎麦、私はとろろ蕎麦を注文した。この店の名は“極楽坊”。なんだか凄い蕎麦が出てくるのかと思ったが、小さなお膳に並べられたその見た目は、いたってフツ〜だった。さあ頂こうか、味がフツ〜では困るのだが、さてどうだろう。




 蕎麦を堪能し、私が先に店を出る。支払を済ませたカミさんが続いて出て来る。さてその味、のれんをくぐったあとに何と言ったか・・・


 「高〜い〜、3人で4400円だったよぉ〜」
 味の感想じゃなくて値段かよ。でも仕方がないんだな。10日前の讃岐うどん3店ハシゴは3杯で一人400円。あのとき5人で巡ったけど、合計15杯で2000円ちょうどだもんなあ。蕎麦一杯で讃岐うどん10杯強の計算だから、この価格差は大きすぎる。まあ、素材や店内設備によって食い物価格が違うのは当然だからそれは置いといて、この戸隠の蕎麦の味はどうだったと聞けば・・・
 「おいしかったぁ」
 コメントはそれだけだが、聞いても無駄だったことに気づく。信州育ちのカミさんは、昔っから蕎麦よりウドン派。そこにもってきて食ってきた讃岐うどんが戸隠蕎麦の10分の1の値段なのだから勝負にはなるまい。だから代わって私が味のコメントを述べよう・・・
 「旨かった!」、、、正直に言おう。旨いことは確かなのだが、どこがどう旨いのかを問われても困る。過去のこの二輪紀行で何軒かの蕎麦を食っているが、おそらく明確な答えはなかったろう。むずかしいんだな、蕎麦の味をコメントするのはね。私ごときではよく分からないんだね、蕎麦は奥が深くってね。。。
 さて、目的の戸隠蕎麦を食ったことだし、帰ろうか。








高速道路以外、娘を乗せるのはカミさん。筆者が乗せたほうが、より安全で速いのだが、まわりの目がいかん。オッサンがあんな若い娘を乗せてらぁ〜って。

左にカーブ。


しつこいほど左にカーブ。


ず〜っと左にカーブ。


まだ続くかぁ、と思ったらループ橋だった。



せっかくだから善光寺へ。

 戸隠から長野市内に向かう県道は愉しい。これでもうちょっとクルマが少なければ、なお愉しいワインディングロードだ。(私ひとりならクルマなんてバカスカ抜いて、すっ飛んで走るけど、そうもいかんもので)

 長野市内に入る。ここに来たならば善光寺に寄ってみたいとカミさんが言う。まあせっかくだからと路地にバイクを置いて善光寺に向かう。
 先ほどの戸隠神社参りは挫折したので善光寺参りは決行しようと歩き出すが、これまた戸隠の比じゃないくらい人が多い・・・のでまた挫折。
 数百メートル先に寺が見えてるのだがねえ、どうも人ごみの中に入ってゆくってのは苦手でねえ、と都会人のくせに田舎暮らしをしているようなことを言ってみたりする。有名な七味でも買って、さあ帰ろう。

善光寺参道で買った七味。


このくらいの人出ならいいのだが、、、。

 よし、もう佐久のカミさんの実家に帰って、渇いたノドにビール補給だぁ、と思いきや、今度は娘が美術館に寄りたい、と言い出す。15分ほど走って北野美術館に着く。北野タケシに関係あるんだろうなぁ、なんだか面白そうじゃねえか。


神社の向こう側の近代的な建物がが美術館。


ヘルメットをぶらさげて入館。


 北野美術館は、あのタケシとはまったく関係なかった。そこに展示されていたのは日本、そして海外の数十名の著名な芸術家の作品だ。恥ずかしながら、日本人では横山大観、海外ではシャガール、ユトリロ、ロダン、その4名しか知らなかった(認知度1割以下)。 しかしそれらの芸術家よりも興味を持ったのは、上杉謙信・景勝(兼信の養子息子)、武田信玄、織田信長、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗などの実筆であろう書状の数々。どの武将もこんな達筆だったのかぁ、と感心しきり。いいものを見せてもらった。
 さて、ほんとに帰ろうかぁ。

バイクとカミさんの影はグ〜ンと伸びてはいるが、まだまだ明るい上信越自動車道。



いままでの筆者のバイク走行一人写真では辛かったカメラアングルも、後ろに乗る娘に撮らせれば楽。スローシャッターも可能だし。



いくらニケツでも、このアングルはさぞキツかろう。筆者なら腰が回らない。(右側の山は浅間山)



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