2009年10月7〜9日



旭山動物園のある旭川市から苫小牧駅経由で函館に向かう。

 台風のおかげで、帰路は大きく予定変更。1000キロも余計に走らなければならなくなった。18号のヤローめ。
 18号といえば、群馬県の高崎から軽井沢、長野を通って日本海側の上越市までの国道18号、じゃなくって、やはり人造人間“18号”を連想するのが俺流。のちにクリリンと結婚したっけな・・・って、この30文字程度を理解できる人って、いったいどのくらいおられるのだろうか。ドラゴンボール、知ってるかなあ、このサイトの読者さん。まあ知ってるつもりでついでに書いてしまうけど、2010年春に発売されるホンダ “VFR 1200F” って、そのマシンをデザインした人はぜったい“フリーザ”を意識してると思うのだが、、、だよね?。



ニケツで走る娘とカカロット(筆者)の影も長くなっている。もうすぐ暗くなるのも時間の問題。


シールドに付いた、もの凄い数の虫。


ヘッドライトにはもっと多い虫。


夕刻ちかくなると気温がぐんと下がる北海道。まだ日差しはあるが、防寒目的でレインウェアを着なくてはならぬほど寒い。








午後6時ちょいと前、JR苫小牧駅に到着。娘と見送りのカミさんは改札に向かった。








やっと函館に到着。函館駅前のビジネスホテルの部屋から写す。
 本来なら走って愉しい一般道を選ぶが、旭山動物園でのんびりしすぎたので、旭川市からすぐ道央自動車道に入り、まずは苫小牧駅に向かう。
 夕方4時、走っていて気温がぐんぐん下がってゆくのがわかるくらい寒い。サービスエリアに入り明日の青函フェリーを電話予約し、そしてまたしても雨が降っていないのにレインウェアのお世話になる。
 旭山動物園から約200キロ、3時間弱でJR苫小牧駅に着く。台風の影響で上野行き寝台特急 北斗星が運休になっていないか確かめに改札に行き、駅員に尋ねると「大阪行き、寝台特急“トワイライト エクスプレスは運休しましたが、北斗星は出ます!」とのこと。安心したものの、ほ〜、台風に突撃してゆくんだな、と不安がなくもないが、娘をそれに乗せる。

 さて、その寝台特急を追いかけるように我ら2台のナナハンも出発進行! 鉄道と並行して走る高速道路で函館を目指す。その距離250キロ強。
 寝台特急 北斗星は2両のディーゼル機関車(形式名:DD51)で引くが、その足は函館まで平均速度70km/hと遅い。同じルートを函館まで走るディーゼル特急“スーパー北斗”の平均速度106km/hならとてもかなわないが、“北斗星”ならばきっと我らのほうが函館には先に着くだろう。ま、どうでもいいことだけど、とりあえず勝負。
 ところがどっこい高速道路を30分も走らないうちに寒さの限界を超えた。道路上の電光気温計は“6℃”を表示している。こりゃもうダメとサービスエリアに入り、あったか〜い、つぶつぶコーンスープ(これが旨いんだ。トウモロコシのツブが最後まで食えずイライラするのが難点だけど)を飲んで、ホカロン買って、そこらじゅうに貼って出発。
 しかし北の大地の寒さは、春物ウェアで来た我らを許してはくれなかった。これでレインウェアを着ていなかったら、などと想像もしたくない寒さのなか、鼻水を垂らしほうだい精一杯走った。100km/hを越えて走るより90km/hのほうが寒さが和らぐのがわかったので速度は控えた。途中、函館の70キロ手前で高速道路は終点のため一般道を走り、夜10時ちょい前に函館駅前のビジネスホテルに到着。娘の乗った寝台特急 北斗星は、函館駅に10分前に着き、上野目指して台風に挑戦するかのように走り去ったあとだった。
 さて、べらぼうに腹は減ったし、カラダはシンから冷えたし、居酒屋に行ってアルコール補給して元気を取り戻そうじゃないか。。。




朝の青函フェリー

 予約した青函フェリーの函館出航は朝7時45分。6時に起き、そして気になる台風情報をとテレビをつける。アナウンサーは現在台風18号が愛知県に上陸したことを伝えている。
 「なんだぁ、まだ千数百キロも離れたとこにヤツはいるじゃねえの」と余裕をみせたいところだが、その進路はやはり東北、しかも天気図にあるでっかい円の強風圏とやらは確実に近づいている。





函館フェリーターミナルで入船を待つ我らナナハン組とハーレー組の計5台。夏場以外はこの程度の台数だろう。


バイクは先に入船したので船室一番乗り。出港時でも7〜8名とゆったりスペース。
 函館駅前のビジネスホテルから函館フェリーターミナルまでは、10分ほどで着いただろうか。早々に乗船手続きをしてフェリーの後ろにバイクを移動すると、すでにハーレーのアンちゃん達3台が並んでいた。フェリーにはバイクが一番先に入り、船室に上がっていい場所を確保する。
 7時45分出航のはずだが、10分ほど過ぎても動こうとしない。やがて「車両の積み込みに手間取っているからお待ちを」と船内アナウンスがあり、結局30分おくれで出航した。
 自慢じゃないが私は船に弱い。だからすぐに寝ることにする。台風がまだ愛知県にいるとは言え、荒れているのではなかろうかと、出航して30分経った海を窓から見れば、大荒れの津軽海峡!
 海が荒れてるかどうかなど、船の揺れで分かるものだが、これだけ波が高くても、なぜかそれほど揺れないのが不思議だ。時おり「ドォ〜ン!」と船に波がぶつかる音が聞こえる。が、その振動だけで、さほど揺れない。その理由はあとで分かった。
 船室のテレビはNHKがず〜っと台風情報を流し続けている。その交通情報では「青函フェリーは運休」・・・って、乗ってんじゃねえか、今!
 



カラー写真なのに、まるでモノクロの世界だ・・・。



 やがて船は減速し、青森フェリー埠頭に着いた。船内放送では、バイクはいちばん最後だと流れる。出航の時が最初なのだから想像してたとおりだ。
 2台のナナハンを荷作りして待つ。しかし何十台もの大型トラックが全て出るまで動かすことはできない。次々と出てゆく荷物満載のトラック。よくもまあこれほどの台数のトラックを積んで来たものだと感心するが、そう、揺れが少なかったのは、その重そうなトラックが原因だと理解した。あの波でも揺れにくいほど、船が重くなっていたのだろう。
 やっとフェリーを出ると、その瞬間にもの凄い風、そして岸壁を越えて高波が押し寄せる。とりあえずフェリーターミナルに避難。


青森フェリーターミナルのレストラン。筆者はカツカレーだ。カツカレーというやつは、ほんとうに旨いのだ。
 このまま東北自動車道で東京に向かえば、必ず台風とぶつかるだろう。私は台風の中を走るのは冒険的で興味あるのだが、カミさんには無理だ。ならば青森県内の温泉宿にでも泊まって、台風の通過待ちでもしようと、フェリーターミナルで早めの昼飯でも食いながら、弊社に電話して宿を探してもらう。
 ・・・ところで、寝台特急で上野に今朝着いてるはずの我が娘、もうとっくに家に帰っている時間だろうとカミさんがケイタイで連絡したら、「大宮駅(上野まであと25分のところ)で2時間以上停車中」とのこと。なにやら首都圏の電車が、台風で動いてないようだ。寝台特急“北斗星”、勇敢にも台風の中を突っ込んで行ったが、あと一歩のところで足止めをくらっている。


 台風通過待ちに選んだ温泉宿は、青森港から35キロほど南の桜で有名な弘前市、そのまた10キロほど南の大鰐(おおわに)温泉。そこまで約1時間、横なぐりの雨の中をず〜っと走り続けて到着。この温泉地は、ほぼ四方を山に囲まれているので風は弱く、とても台風が近づいているような気配はない。

大鰐温泉 不二やホテルに着き、その軒先にナナハン2台を停めさせてもらう。

 午後3時、ツーリングでこんなに早い時間に着いたことはなく、超の〜んびりと温泉に浸かる。半年前の春は、桜巡りで隣りの弘前市のビジネスホテルに泊まったが、この大鰐温泉に泊まるかどうか迷ったほどの名だたるいい湯だ。
 風呂から出て部屋に戻り、これまた超スローペースでビールを飲み、テレビのスイッチを押す。やはりどの番組も台風情報・・・えっ、今朝6時に愛知県に上陸したのに、今(午後4時)で仙台あたりだと? 名古屋から仙台まで10時間て、バイクで高速使って走っても楽勝な距離ではない。なんというスピードだ。

台風18号の暴風圏(赤の円)と強風圏(黄色の円)。青森港から東北自動車道を南下していたら、まちがいなく暴風圏に突っ込んでいただろう。


我らは2人なのに3個のヘルメット。

雨に濡れた自慢のブーツ。 冷えたカラダには温泉がいちばん。
源泉が68度と高いので加水しているが、それを掛け流し。いい湯である。 当日予約なので別注料理を頼んでないが、十分な料理。 白神・・・半年前、1年前と、この1年のうち青森県で3回飲んでるんだな。


 開湯800年の大鰐温泉は、津軽藩の歴代藩主も訪れたという歴史ある湯。また、街には9つの共同浴場もあり、今回は時間がたっぷりあったのに台風事情でそれらに浸かれなかったのが残念だ。しかし当日予約で泊まった不二やホテルの湯でも、十分に満足。あれだけの設備で1泊2食付 11,500円(だったと思う)というのもリーズナブルでありがたい。



 朝、台風一過は晴天、と想像していたが、雨。またまたレインウェアの世話になる。
 そういえば北海道に着いたその日から5日間、毎日欠かさずレインウェアを着ている。防寒目的であり、本来の機能目的、防水であったりと、たいへん役に立っているのだ。だがこれだけ弊社のレインウェアを露出してるのに、まったく宣伝になってないのは、このサイト発信の現在(2010年1月)在庫ゼロ。そう、生産もしてないから販売も無し、の状態なのだ。
 しかしちょっとまてよ、我ら愛用のレインウェアは毎年10回ほどの長距離と日常使用の繰り返しで、もうくたばってきている。そろそろ新しいのと交換しようにも在庫は無し・・・ならば作っちまえ、ということで2010年春、新型“RE-05 レインウェア”として、久しぶりに販売しようとたくらんでいる。。。(※製品作りは真剣でも、そのキッカケはテキトーなもんです)

RE-03から新型RE-05レインウェアへ・・・(たまには宣伝)






大鰐温泉を出て数キロ先の道の駅で買ったリンゴ。津軽といえば、やはりコレだ。

 北海道の美瑛の丘ではカボチャ、そして津軽ではリンゴを買い、ツーリングバッグ満タン状態で東北自動車道を南下。東京の自宅まで、あと700キロくらいだろうか、先は長い。その上、小雨の中、道路上の気温表示12℃と低い。しかし北海道で夜走った6℃を春物ウェアで経験したあとなので、な〜んてことない。
 岩手県南部の前沢SAで昼飯休憩。しかしなんですねなあ、近頃のSAのメシってのはなかなかイケますなあ。10年以上も前なんて、こんなマズイ食いモンをこんなにボッタクリやがって・・・SAでメシを食うたびにそう思っていたものだがね。


[前沢サービスエリアのメシ]

カミさんは意味不明の“巌の手(いわのて)セット¥1200、私は前沢牛のデミグラスハンバーグ定食¥1050 & 前沢牛にぎり¥840(たった2カン)と大奮発。ほんとに旨いっ!



前沢牛入りカレーパンも買う。






火の玉ゼファーのサイドバッグが燃えて底に穴が開いているが、無理矢理バッグを上方に引き寄せたので大丈夫。
 東北自動車道をを快走。気温は18℃、20℃と南下するごとに上がってゆく。北海道の気温と比べたら天国のようだ。
 東北自動車道では3回給油するが、やはり北海道と同じでゼファーよりCBが1リッター多く入る。CBの方がハイギヤードな感じで、高速の巡航では有利なはずだが、、、2万キロを越えたゼファーより新車のCBの方が、燃費よいはずだが、、、カワサキよりホンダのほうが燃費がよいメーカーイメージだが、、、不思議なものである。
 台風18号の野郎のおかげで2万円少々多く旅費が掛かった。青函フェリー+高速代+ガソリン代だけでも苫小牧〜大洗フェリーより高いのだ。しかも1000キロ多く走り、1日余計に掛かる。台風通過待ちで余計に一泊したわけだが、そうでなく、青森港から直帰しても、苫小牧発のフェリーのほうが早く着く。やはり北海道は長距離フェリーだな、カネと時間がある人は別としてね。 ※ETC1000円日に、どこにも泊まらず昼夜問わずひたすら走れば長距離フェリーより安いが、私らにはそんなエネルギーはない。



 10月9日夜8時、大鰐温泉から約700キロを10時間掛けて東京大田区の自宅に着く。全行程の走行距離は1998キロ(あと2キロ寄り道すればよかったかな)。帰路は台風に邪魔されたが、振り返れば良い旅であった。それもこれも、北海道という北の大地に、ゼファーとCBの2台のナナハンで走ったからにほかならない。ほんとうにいいバイク達だ。

 ・・・それにしてもスタンダードなネイキッドナナハンが生産中止となってしまったのは惜しい。しかし2009年12月現在、ホンダから2010年春にニューモデル“CB1100”が発売されると聞く。空冷でコンパクト、カフェレーサースタイルのそのマシン、ちょっと興味をもつ。ではカワサキからは?、、、ヤマハはスズキは?、、、我らのゼファーやCBのナナハンに負けない魅力あるオートバイを、どうか頑張って作ってほしい・・・と切に願うばかりである。
by 夫婦坂 三橋


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