2008年10月21日








 今年、この秋までは、なぜか1000kmを越える二輪旅をしていない。なんだかんだと社内仕事ばかりが増えて、外に出られない状況であった。こんな年は初めてだ。だからというわけでもないが、夫婦坂二輪旅紀行に“学生編”を2連発公開した。あのシロートっぽさが良い、といった評価もいただいたが、皆さんはいかがだったろうか。(とはいえ、私とて旅のプロではないが)

 紅葉真っ盛りの東北、それも青森、秋田を中心とする北東北を走りたかった。南東北へは、毎年のように足を運んでいたが、青森県までとなると今まではない。その理由は、のんびりと走って景色を眺め、湯に浸かってとなれば、4〜5日は必要で、秋の多忙期になかなか休みが取れないから。
 そんななかで、これだという仕事の機会(口実ともいう)が廻ってきた。それは今年2008年春から企画している “レディースブーツ”の試作走行テストである。まだ販売決定しているわけではないが、しっかりと走り込まなければならない。それもできる限り一般道を。ならばグルリ東北が良い。
 海、山の秋の味覚に舌鼓を打ち、紅葉のなかを走り、温泉を愉しむ。そういった旅に、そのブーツは適切なのだろうか。身も心も足もとから癒してくれるのだろうか。 ・・・性能だけじゃなく、いい気分で旅ができるブーツ、それがもっとも大事なのです。弊社のモノ作りは。。。




[東北に向かうバイク達]

カワサキ W-650
パワーはないが一般道をトコトコ走るには楽しい。特にトンネル内の排気音は良い。(社外マフラー)

カワサキ ゼファー750
音良し(社外マフラー)、乗りやすく、我が娘とカミさんのお気に入りバイク。

[足もとの紹介]
レディースブーツ(試作品):他にファスナー式もあるが、今回は編み上げ式をテスト。ライディングブーツとは思えない美しい仕上がり。なお、このカラーに合わせて、アイボリーの革ジャンをチョイス。 R-02 ブーツ:これは2008年春から販売している現行モデル。乗って良し、歩いて良しの最高峰のグッドイヤーウエルト製法。筆者は、新幹線、飛行機にも愛用してます。






 青森へは、もちろん東北自動車道が最短距離。しかしそれではあまりにも芸はない。だから関越道で新潟を経由して、できる限り一般道を走って、日本海を左に望みながら北上しようって寸法だ。
 10月21日の朝、東京の自宅を出発し、4時間ほどで関越道 三条・燕インターを通過、しようと思ったがなぜか降りてしまう。ちょうど1年前の夫婦坂二輪旅紀行“秋の風情”でも降りているが、その時の理由は、この近くのリーガルコーポレーションの靴製作工場に用事があったから。もちろん我らの今履いているブーツも同工場製であり生まれ故郷でもあるのだ。そんなことを考えていたら、ついついってとこだろうか。
 ちょうど昼時、腹も空いてきた。インターを降りてちょいと走ると“侍”ラーメンというカンバンが目につき、吸い込まれてゆく。弱いんだなあ、侍っつう文字に。

 ところで、二輪旅紀行、学生達の北海道編では、木村青年が食いモンの10段階評価を星印の数で表現していた。大人気ないとは思うけど、ちょっとパクッちゃうかな。(青年よりも厳しく評価します)



[侍ラーメン] インターを出てR8を新潟市方面へ500mほど走った左側。店内は侍をキャラにした演出多し。
ネギラーメン(+味付けタマゴ・コーンのトッピング・油の量、少なめ ¥1000):見た目ボリュームありで、ちょっと濃い目の醤油味って感じかな。[ ★5個 ]



 木村青年の食いモン10段階評価をマネてみたものの、最初はどうしたものかと考えたが、とりあえず星5個にしてみた。5個というのはけっしてマズくはなく、フツーってとこだろうか。今後の基準となるので、その味をしっかり覚えておくことにしよう。

 さてここまで来たなら、ちょっとついでに我らのブーツの故郷に寄ってみようと、リーガルコーポレーションの工場に向かう。たった1年間だが、もうかれこれ4回目の訪問になる。



















 工場事務所入り口にバイクを停めようとしたとき、うしろで「グッシャ・・・バサッ」と音がした。振り返ればゼファーが横たわり、カミさんはコスモスの中に埋もれていた。
 な、なんということだろうか。ここで立ち転けとは! 世界に1足しかない試作ブーツは無事だろうか?、、、ちがうっ、バイクは?コスモスは?、、これもちがうっ。なかなか起き上がってこないカミさん、大丈夫かぁ、ゲガをしたんじゃないだろうか? コスモスの中から引き起こそう・・・でもその前にパチリ。

 そうとう痛がっているが、なんとか歩けるようで事務所に入る。ちょっと休憩と、顔見知りの工場の人に部屋に案内されると、大きなテーブルの上に、今まで見たこともないカジュアル系ライディングブーツらしきものが置いてある。そのブーツのサイドにPAIR SLOPE と刻印されて。
 い、いったいどういうことだろうか。しかも25cmと、偶然にも私のサイズではなかろうか。
 「これ、履いていいですかぁ?」
 「どうぞ、なんなら履き換えてってください。ここまで履いて来たブーツは、あとで送っときますから」
 さっそく試し履きしてみる。凄い。ド新品なのにソフトな感覚で歩きやすい。こんなに素晴らしいブーツが、たまたま寄った工場で出来上がっていたとは、、、しかも偶然にも私のドンピシャサイズで。

 ・・・いやぁ、こんなわざとらしい文章、もうやめときますかぁ。偶然なんて、あるわきゃないですからねえ。
 ほんとは今回の旅に合わせて、新たなメンズサイズの試作ブーツをギリギリの納期で作って頂いたのだ。それに履き換えて、これから東北の旅に出る、って寸法だったのだ。少々ウソっぽい言葉の数々、お詫びしよう。そして新潟の工場の方々、無理言って、それでも間に合わせてくれて感謝してます。
 ・・・でも、立ち転けは想定外の出来事だが。。。


1時間前のできたてホヤホヤ試作ブーツ。見た目の高級感では、すでに販売している同工場製のR-01/R-02アーバンツーリストブーツに敵わない、軽やかな歩行感はこちらが上。はたしてこれから走る千数百キロの操作感はどうだろうか。(※発売未定:結果が良くて、もし発売するとしても、このままの姿ではないでしょう)

※私がジーンズなのは、写真を撮る時にアスファルトに寝転がったり、ガケによじ登ったりと、革パンではキズだらけになるから。一眼カメラを持たない旅は、もちろん革パンだが。















 これでカミさんも私も試作ブーツという同じ条件で走ることになる。これはいままでにない旅だ。できるだけ足もとに注意を払って走りつづけてみよう。そしてこのブーツの欠点を早く見つけて、次の試作品に活かす。早い話がアラ探し、ということ。作ってくれた方々には申し訳ないけれど、これがほんとに大事な仕事なのです。

 ところで立ち転けのカミさん、やはり腰を打ったようで、ひとりでバイクにまたがることができず、乗り降りは手伝わなければ無理という状態。いちどまたがってしまえば走行できるようでひと安心なのだが、はたしてここからの長旅、大丈夫なのだろうか。なんだか、ケガ人でも操作できるか否かの長距離走行テストみたいになってしまうようだ。

 工場を出て1時間ほどで海沿いの一般道を北上する。サケの遡上と瀬波温泉で知名度のある村上市は昨年泊まったので通過し、風光明媚な笹川流れをまったりと走る。
 陽が傾いてきた。うっすらとオレンジ色に輝くアスファルトに残す影も、刻々と長くなっている。今夜の宿、あつみ温泉まではもう少しだ。
















 日本海もススキも夕陽でギラギラと輝いて、それは見事なたそがれ時だった。
 日没から10分ほどで温海(あつみ)温泉 萬国屋(ばんこくや)に到着。近代的和風のデッカイ旅館だ。バイク2台を玄関横の屋根下に止めさせてもらい、広いロビーでチェックイン。
 しかし豪華で大きな旅館を好まない私が、なぜ萬国屋を選んだかは、そのネットで“おもてなし”という言葉がひんぱんに出てくる。よほど自信があるのだろう、さていかに?という理由である。余談だが、この宿で作曲家が“星の降る町を♪”を作ったそうである。古すぎて、私のカラオケレパートリーには入ってないが。
 なお、あつみ温泉は開湯1000年、東北・出羽の国を代表する名湯と言われている。さて湯に浸かろう。カミさんの打ち身・ねんざ?にも効くだろう。
 だがしかし、ライディングはできたものの、歩くことができなくなってしまった。風呂に向かうもカメのごとく。それを見ていた旅館の人が、車椅子を持ってきてくれた。これが“おもてなし”ってものなのだろうか。けっこう助かる。
 それにしても、バイクに乗ってやって来た者が車椅子とは、なんだか妙な気もする。。。


※この旅の帰宅後に聞いたことだが、打ち身・ねんざのその日はシップ等で冷やすのが先決で、温めちゃいけない、ということだった。時すでに遅しではあるが、とにかく温泉に浸かれば、なによりの治療だと思ってしまうわけですよ。
※そしてこれまた帰宅後のことだが、医者に行ったら打ち身・ねんざではなく“骨にヒビ”がはいっていた。そんなの分かっていたら、バイク置いて翌日電車で帰していただろう。そうとは知らず、この先も1500kmほど走ることになる。



[あつみ温泉 萬国屋]
一泊二食 ¥1万7千円代より。
夕飯:海・山の旬の幸、そして山形牛とテーブルをきれいに飾る。[ ★6個 ]

温泉:無色透明、ほとんど無臭の微弱アルカリ性。個性のある湯ではないが、湯加減よく、清潔感あり。写真は貸切風呂(有料)だが、宿自慢の庭園風呂は開放的で豪華。[ ★6.5個 ]



 今日はいろいろあった温泉1泊目。明日からの3泊も温泉宿としよう。なんだかねえ、仕事のつもりが、治療のための湯治旅となりそうだ。まあ、どんな理由であれ、バイクの旅ができればそれでいいのだが。ではまた明日。。。



それにしても日本海に沈む夕陽は綺麗だったなあ。


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