2006年4月2〜3日

 みなさん、長州ってとこをどこまで知ってるだろうか?

 近ごろ長州の知名度は急上昇。けっして“ふく”ではなく、源平合戦でも、巌流島の決闘でも、幕末でもない。そう、その立役者は“長州小力”。ちょいと小デブなコメディアンである。
 そもそも長州 力(プロレスラー)のモノマネばかりなのに、その本人を知る若者たちは多くないという。でもウケている。いったいいつまでテレビに出ていられることだろうか。ギター侍も見ることがなくなった2006年の春、余計な心配をする。
 また、余談ではあるが、“小力”は東京都出身。対して “力” は山口県周南市(旧徳山市)出身の長州育ち。私の場合、プロレスラー長州 力の人物像から、格闘好きな、ごっつい“長州”を想像していた。
 

 なんだか前の扉ページでは、歴史だの文化だのと体裁をつけてしまった。でもそれはハッタリ。本でも、表紙くらいはカッコつけなきゃ、その先をめくってくれないからねえ。だいたいから学生時代に居眠りばかりで勉強嫌いの私が、偉そうに書けるほど、そんな知識はない。これから先の4泊5日の長州旅、まあ、なりゆきで歴史にも触れてみようか。ってな程度でしょうか。

 さて4月2日、山口県下関に向けて、品川駅から新幹線“のぞみ”で出発。帰路は飛行機。スズキGSFとゼファーのバイク達は往復フェリーで無人航送済み。
 「なぁ〜んだ、自走じゃないんだ!」と思う人も多かろう。先日、某編集部員が弊社に来店された時も同じことを。そして 「僕は貧乏だから、自走しましたがねえ」 とも。
 馬鹿言ってんじゃない! 飛行機なら下関周辺の空港往復とビジネスホテル一泊のオマケ付で25,000円程度からあり、フェリーの航送料は7,560円(〜750cc)、片道2万円にもなりゃあしない。対して自走したら高速代、ガソリン代、タイヤ消耗代(GSF1200の場合、8円/km)で〆て3万円を超える。 「今や自走するのはカネとヒマと忍耐のあるやつ。貧乏人は飛行機を使うのだよっ。シロートみたいなこと言ってんじゃねえぞ、某編集部君!」
 なのに我らは新幹線。なぜそうなのかは、飛行機より鉄道が好きだから。それだけ。

 JR西日本所属500系 “のぞみ” は東海道を270km/hで快調に走る。隣りはカミさん、そして前の席には坂上修造カメラマン。
 なんだかねえ、この人は我々の旅によくついてくる。たいしたギャラを払えんのに(交通・宿泊費の方が高い)。今回はカタログ撮影の為、2泊だけの同行で、3日目はフェリーに積んでった車を自走でお帰りいただく。新幹線車内ではビールとシュウマイでへらへらしてるけど、帰路は、、、ご苦労さん。
ライディングウエアを着て、500系“のぞみ”に乗る。ホームでも違和感なし。



ライディングブーツ“ショートグフ”。新幹線の車内でも違和感なし。



横浜名物 崎陽軒のシューマイとビールでご機嫌の坂上修造カメラマン。・・・帰路は地獄だっつうのに。




山陽新幹線に入り、神戸からは300km/hでぶっ飛ばす、、、が。



修造カメラマンといっしょだと、いつもバイクが壊れる。今回は新幹線であった。


38分遅れ、品川から4時間半+遅れ分で小倉駅に到着。ここから在来線で2駅戻り、下関へ。(下関へは、飛行機と新幹線との到着時間はほとんど変わらない)


 下関に着いて、まず何をしようかって、そんなことを聞くのはヤボなこと、“ふく” を喰うのがこの世の常識である。(東京では“ふぐ”だが、なぜかこちらは“ふく”とにごらない。なお漢字では“河豚”だ。)
 修造さんは、緊張している。まともなふくを食ったことがないらしいのだ。
 「ふぐってさぁ、ヒラメとかの白身の刺身に味の素をかけた味でしょ。」 
 こういったトンチンカンな味覚を持つオッサンの為に、下関市内のふく屋 “やぶれかぶれ” でトラフクを喰らうとしよう。



Photo:sakagami


ふく刺し:とらふくの刺身。味はいたって淡白、、、味覚が薄いので、視覚との合わせワザで食す。

皮酢:ご飯のおかずにはならんだろうが、コリコリ、シコシコとして、酒のつまみには最適な800円也。

鉄焼き:身と皮部分(だと思う)。これでコース料理の1人前。味はイマイチか、、、?

ちり鍋:これもコース料理の1人前。けっこうな量である。(ふくの身は4切れ)

雑炊:これが〆である。ここまでくる前に満腹状態だが、なぜかまだ入る。


白子:筆者の大好物だが、めったに食えるものではない。1皿4くち分で3500円は、今夜のビジネスツインルームの一人分だ。

唐揚げ:ブツとアラがあり、骨付きのアラのほうが味が濃くだんぜん旨い。


鉄焼きはこうして焼肉のように。焼くと丸まって幼虫(カイコ)のようになる。

とうぜんのことながら、鍋からふくがなくなるのは一瞬の出来事。

ひれ酒:ほんとにこれ最高! 美味さは関門海峡級!?、としか言いようがない。ほんの4杯だけいただいた。。。


 修造さんは“源氏”、カミさんは“平家”のとらふくコース料理を注文。そのちがいはちり鍋か、鉄焼きかだが、ではなぜ源氏・平家なのかは定かではない。きっと近所に源平合戦場があるというだけで、深い意味はないのだろう。
 そして私はといえば、ゆずパンチサワーを軽く2杯呑んで、唐揚げ、鍋、雑炊、、、白子や皮酢をつまみに“ひれ酒”をついつい4杯・・・医者から暴飲暴食を止められていたが、時すでに遅し。翌日、痛い目に。。。


テーブルにさりげなく、
しかしきったない字で案内されていた、
日本酒 “武蔵と小次郎”
これ、やたら気になってしょうがない。

しかしどうなんでしょかねえ、、、
源氏と平家だけならまだしも、
武蔵と小次郎、
ほかにも“七福神コース”なんてのもある。
歴史も文化もごちゃまぜ、
やぶれかぶれなメニューだ。

  下関市豊前田町 「やぶれかぶれ」 にて


 呑んで喰って、また呑んで、腹いっぱいとフラフラ状態で関門海峡の夜景写真を撮る。そして翌朝、新門司のフェリー埠頭にバイクを引き取りに行くって寸法だ。


モデルは酔っ払いの筆者。修造カメラマンも飲酒撮影の為、
アングルもピントもなかなか定まらない。
「もう1回撮らねえとなぁ!」と挑戦するも、突然、橋が真っ暗に。。。
この時季、ライトアップは午後10時で消灯であった。
酒飲みはこれだから困る。
Photo:酔っ払い修造 午後9時59分



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