豊島美術館前

2015年秋と2016年冬のツーリングは、恒例の「大人の社会見学ツーリング」。バイクの機動力を活かして、なかなか行くことのない話題の名所や事件の現場に行ってみよう・・・というツーリングです。今回の目的地は、高知県西部の四万十町と、小豆島の西隣の豊島。意外や意外、ともにミュージアムが目的地となりました。


2015年 秋のツーリング 目的地 高知県四万十町 (2015.10.12)



 日本最後の清流と呼ばれる四万十川。高知県の西部をグネグネと曲がりながら、太平洋に流れる大きな川です。

 その河口側にあるのが、四万十市。四万十町はその上流側にあります。
 平成の大合併で、同じような名前がついてしまい、訪れる僕らにとって紛らわしいのですが、今回訪問するのが「四万十町」。の方

 もちろんその名のとおり、町の中心に四万十川がドーンと流れていて、その雄大な景色を求めて、幾度となくツーリングに訪れる場所でもあります。




 さて旅は、高松から南に向かうところから始まります。今回は総勢6台。当日の天候は晴れ。暑くもなく寒くもない絶好のツーリング日和になりました。

 年々、高知道の延伸が進んでおりまして(2015年秋現在)、四万十町窪川の「四万十町中央」まで、高速道路が出来上がっています。
 基本四万十町は少し高台にありまして、その直前の久礼坂は、昔から国道56号の難所と言われています。ツーリングでも登坂車線が断続的に続き、周囲の交通のスピードが上がるため、怖い思いをされた方も多いのではないかと思います。
 そんな坂道も、高速道路が完成し、トンネルとなだらかな坂道になり、以前にも増して高松から四万十町への距離も近くなったような気がします。


 いつもこちら方面のツーリングで、必ず立ち寄る「道の駅あぐり窪川」が、いま現在の高知道の高速道路の終点近くになります。今日はここから四万十川を伝って、内陸に入っていきます。

 国道56号から別れ、国道381号に入ると、交通量は激減します。のどかな山村風景を見ながら一同は、西に進みます。

右手に四万十川を見ながら、快走中のご一行。途中何本かの沈下橋も見られる風光明媚な道路です。
 
 いつもだとワインディングとか、沈下橋とか、四万十川の雄大な景色が旅の目的だったのですが、今回の目的は、ちょっと変わってミュージアム。
 ウチの息子が大好きな「チョコエッグ」に入っている、おもちゃなどを企画している海洋堂という大阪の会社が、この辺鄙(お近くの方すいませんm(__)m)な場所に、海洋堂ホビー館という博物館を作っているのです。

 ここではその精巧・精密さで世界的に評価されている、「食玩」やその会社の作るフィギュアを集めているそうです。

 今回集まっている、40〜50代前後の参加者(ボクを含めて)には、フィギュアというと少し疎い分野かもしれないのですが、「食玩」となるとがぜん興味が・・・。ここには「男の子の心を揺さぶる」何か・・・があるのです。

 最近は、ホビー館の他に「かっぱ館」という新しい博物館もできて・・・ますます期待は膨れるばかりです。


ホビー館は、こんな感じのド派手な外観。よく見ると学校の体育館だったのかなぁ、という建物です。この中に所狭しとおもちゃが並べられています。

大きいものは、こんな等身大の物から、恐竜サイズのものまで。嬉しいことに、館内撮影OK。SNS世代の若者たちは、写真撮りまくりですね・・・。

大きいものはそのリアルさにびっくり。小さいものは、細部のディテールまでこだわった作りに、これまたびっくりです。

 大量生産・大量消費の世の中にあって、「(食玩をはじめとする)子ども向けのおもちゃ」となれば、すぐに消費されてしまう雑多なモノ・・・というイメージがあったのですが、どの展示物も、作りだけじゃなく細部の塗装まで、精巧に作られています。ここまで作り込まれていることを知ると、たとえ元々子ども向けの物であろうとも、一つ一つを大事にしたくなるものですね。

 さて一同は、ホビー館からほんの数分のところにある「かっぱ館」に移動しました。
 こちらは、かっぱの絵や置物を中心に展示しています。

こちらは、ホビー館と比べると新しい建物です。木材をふんだんに使った、変わった形をしていますね。

いろんな場所から集めたと思われる、かっぱの像や関連したものを集めています。

窓の外から清流が見え、ホントにかっぱがいそうな場所なんだなぁ・・・と思います。きっとそんな由来があるのかもしれません。
 
 話を聞くと、この地は海洋堂の創始者の生まれ故郷なんですね。都会からは相当離れた不便な場所なんですが、人の多いゴミゴミしたところより、かっぱ達にはお似合いの場所なのかもしれません。

 さて、一行は海洋堂のミュージアムをあとにして、さらに四万十川を西に進みます。


雄大な四万十川を見ながら、ゆったりと進んでいきます。
次の目的地は、旧大正町。

大正町の駅から、ほど近いところにある四万十川焼酎銀行です。こちらのサイトでもよく出てくる栗焼酎ダバダ火振の会社がやっています。

もともと銀行の支店だった建物で、栗焼酎を販売しています。金庫には、全国の方から預かっている「預焼酎」が入っています。きっと熟成すると美味しいのでしょうね。遊び心が満載なんです。

運転される方以外は、試飲も可能です。


 銀行の金庫を使って、焼酎の保管をすすめてくれるなんて・・・面白いじゃないですか。もちろん預けた方には通帳も発行してくれるそうです。

 一行は、ツーリングバッグに詰め込められるだけ焼酎を買っていきました。そしてさらに、四万十川を伝って西へ。道沿いにある道の駅とおわを目指しました。
 

ちょうど時間はお昼時。天然うなぎを求めてこの道の駅へやってきたのですが、あいにく食堂は満杯。山あいの道の駅で、他に食事の選択肢もなく、隣接するうどん屋に入ったのでした。

みんな頼んだのが、四万十川でとれる海苔をうどんにねりこんだ四万十うどん。参加者一同「天然うなぎが食べたい・・・」と願っていただけに、うどんじゃ物足りなかったかもしれませんでしたが。でも美味しかったですよ。

主催者は食後定番のご当地ソフトクリームを頬張りました。寒くても暑くてもこれだけはやめられませんね。



道の駅四万十とおわを後にして、大正町まで国道381を戻ります。
大正町からは、普通の観光客なら決して行かない酷道439へ。


舗装こそされているのですが、落ち葉や砂利とか
気を抜くと痛い目に合いそうな国道439を走破。
写真のところは、まともな方です・・・。


 結構いいペースで走るのですが、大正町から国道197に出るまで一時間ぐらい。距離にして50km以上、狭い道を延々と走り続けます。広い道路に出ると「ホッ」とするのが本音ですね。



 帰りは、国道197号を東に進み、海沿いの須崎市から高速に乗って帰りました。

 四万十川方面は、僕ら瀬戸内側の人間にとって定番のツーリングコースです。このサイトでも、こちら方面へたびたび訪問しているのですが、今回のように新しいミュージアムを訪問するのは、とっても楽しいものですね。新しい発見がありました。この地には、まだまだ僕らの知らない魅力が残されているのかもしれません。




2016年 冬のツーリング 目的地 豊島 (2016.2.11)


 冬のツーリングは、2月11日の建国記念の日。今年も常連のIさんと事前に行き先を思案していると、「近場がいいなぁ・・・」というご意見。寒くて辛い思いをして遠くに出かけるより、「ほっこりと」近場のツーリングにしましょうね・・・。と二人の思惑が一致。今年も恒例の島めぐりをすることになりました。

 候補に上がったのは、瀬戸内海にある直島と豊島。

 どちらも、香川県や通信教育で有名なベネッセが仕掛ける現代アートの島として知られています。
 直島へは、高松から直行のフェリーがあるので、バイクで行くのも簡単ですが、小さな島のためバイクで回るほどでもないでしょう・・・というご意見。

 豊島へは、高松からフェリーの直行便が無く、バイクを渡そうとすれば岡山の宇野港か、小豆島の土庄港で船を乗り継がなければならない所なんです。しかも一便逃せば4時間待ち・・・(人間だけなら、乗り換えなく高速艇で渡れます)。

 それゆえ、なかなか行こうと思えど、遠い島なんですね。高松港から「すぐそこ」に見えるところなんですけど。今回は、常連の参加者みなさんが「行ったことのない!」、豊島を訪問することになりました。


豊島は、周囲20km程度の小さな島。人口は、1000人を切っています。北西部に家浦、北東部に唐櫃(からと)、南に甲生(こう)という集落があります。
島全体に、現代アートの展示物が
散らばっておりまして、歩いて回るにはちょっと遠く、小さなバイクなどで回るのが適していると思います。
 

 当日の参加は7台。朝7時に高松港を出発して、一時間かけて小豆島の土庄港に。そこから船の乗り継ぎをして9時頃に唐櫃港に到着。島の道を走って、家浦港の豊島交流センターにたどりつきました。

 その交流センターにお勤めの浜田さんが、今回ガイドとしてツーリングに加わって頂きました。われわれのため特別に・・・(サボリじゃなく、お休みの日だったそうですm(__)m)。


フェリーの料金は、原付、750ccで料金が跳ね上がりまして、大型バイクを乗せると結構旅費がかさみます。原付きバイクでの参加は、賢い選択かもしれません。

船のラウンジで、バイク談義に花が咲きます。いつものツーリングだと、停まっているときにせわしなく話すだけなので、この際しっかりと情報交換いたしました。


島の周回道路は、道幅こそ狭いものの、すれ違う交通もほとんど無いため、
バイクで走るには快適な道が続きます。島を一周するのに約10km。
数十分もあれば、簡単に一周できます。


 午前中は、浜田さんの案内で、島の西端にある産業廃棄物不法投棄現場の見学をしました。
 2016年春現在、投棄された産業廃棄物を、掘削して搬出し、隣の直島で処理する事業が進んでいます。



地面に載っていたほとんどの廃棄物は処理され、
あとは地中部分に埋められた廃棄物を処理する作業が続いています。
事業としては、最後の仕上げの部分に入りつつあるんですね。


廃棄物から染み出る汚染水は、水処理プラントできれいになり、
海へ放流されるそうです。
事業主の香川県の職員さんが
案内してくれます。


ゴミの処理施設のとなりに、島の運動を展示する小屋があります。
島のゴミとの闘いを知りたい・・・って方は、ぜひ訪問をおすすめします。
今回は、浜田さんにじっくりと説明してもらいました。

なお、産業廃棄物不法投棄現場見学には、予約が必要です。
詳しくは豊島住民会議までお問い合わせください。
TEL0879-68-2661(浜田さん)



お昼時を迎え、一行は唐櫃集落へ向かいます。

お昼は、瀬戸内国際芸術祭2010で、豊島の空き家を建築家の方が設計・再生した「島キッチン」で頂きました。

東京丸の内ホテルのシェフが監修する料理を、島のお母さん方が作ってくれます。素材を活かした上品なお味でした。


さて、お腹も満たされた一行は、午後の部の現代アート見学に向かいます。
おおよそ、これまで芸術とは無関係・・・な面々ではありますが(失礼な・・・m(__)m)。


一行は、島の南側を通って、再び家浦へ向かいます。

家浦の集落で、ひときわ異彩を放つ豊島横尾館。古い民家を改築した建物の中に横尾忠則さんの作品が展示されています。

島キッチンにほど近い、唐櫃集落から少し下がった所に豊島美術館があります。展示物は一言では、うまく説明できないです。ここの捉え方は、その人次第ですね。

唐櫃集落の海辺に、「心臓音のアーカイブ」という小さな美術館があります。世界中の人の心臓音がドクドクと鳴っている中を見学します。

 まあ現代アートというものは、僕ら凡人にはなかなか理解できないですし、言葉で説明するのも難しいですね。でも物は試し、どんなものか一度は行ってみることをおすすめします。

 現代アートを見終わった後、帰りの船が来るまで少々時間がありましたので、豊島の檀山という山に登ることにしました。

山の頂上付近は未舗装路になります。ロードバイクでの未舗装路は、やはり怖いです。


頂上付近には、ごらんのような展望ポイントがあります。
海の向こうには、屋島や高松の景色が見えます。絶景ですね。

僕のバイクも苦労したのですが、もうひとつ大変そうだったのがパニガーレ。帰ってからの洗車が大変そうです。

 檀山の展望台は、道が複雑でしかも極悪な所もあるので、訪れる人が少ない所です。
ガイドの浜田さんがいなければ、来られなかったですね。
でも、苦労してたどり着いた先には、最高の展望台があるんです。

 頂上には、地元の人が作った展望台が設けてあり、
瀬戸内の島々が連なる四方の景色を望むことができます。



頂上から降りてきて、唐櫃から船に乗り込みました。
浜田さんともここでお別れです。

 豊島は、小さな島ですので、正直「時間を持て余すかなぁ・・・」と考えていたのですが、意外や意外見どころ満載で、じっくり見て回ると丸一日じゃ足りないほど。

 僕らが訪問したのは、瀬戸内国際芸術祭2016の開会前。芸術祭期間中は、人が押し寄せ大変な混雑も予想されますので、食事や美術館見学の際に、混雑具合を下調べしておく必要があると思います。

 バイクで行くとなると高松からは、不便なところですが、本州側からだと宇野港から約40分です。気ぜわしい都会の喧騒から離れて、休日をゆったりとした「島時間」の中で過ごすのも楽しいかもしれません。

 まだ、瀬戸内には僕らの知らない島の魅力が残っているはずです。今後も冬のツーリングには島旅を加えていこうと考えています。



 さて、秋と冬のツーリング、無事に終わりました。
 「大人の社会見学」もまだまだ続けていこうと思っています。自分たちの知らない場所や物に触れるのは、とっても楽しいものですし、今回の浜田さんのように、地元の人と触れ合えれるのも、僕らの知らない穴場を教えてもらえるだけじゃなく、いろんな興味関心を深めていくうえで助かりますね。



 屋島工房ツーリングは、年四回のペースで今後も続けていきます。
 行く先は、基本その時々の店主の思いつき・・・。日帰りベースですが、時には遠出もしようと思います。「参加したい・・・」って声、最近よく伺います。ぜひぜひご一緒に走りませんか。新しいメンバーを歓迎しています。詳しくは屋島工房のHPをチェックして下さい。



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