71番 弥谷寺

第九回 涅槃(ねはん)の道場編 その一

二輪で遍路旅は、いよいよ最後の讃岐路に入りました。ここまでくれば勝手知ったる地元の道。88番大窪寺に向け、66番の雲辺寺から香川県を西から東へ移動することになります。


 涅槃とは「さとり(悟り)」を意味します。
 二輪で・・・遍路旅では、悟りが生まれるほど修業していないので、そんな涅槃に達する心境には至らないでしょうが、それでも苦労しながら旅を続けていると、何となくその「さとり」に近い、何かしら感じる物は誰でもあると思います。

 香川県を旅する讃岐路は、そんなことを感じながら、心穏やかに参拝する「涅槃の道場」と言われています。道のりも66番の雲辺寺を越えると、寺の間が短くなり、山登りも少なくなって、途端に優しくなっていきます。


 まず最初の66番雲辺寺は、標高921mの山の上。88ヶ所中、最も高い所にある寺です。しかも香川県側から寺に接続する道は、すごい悪路(今から10年ほど前はそうでした)。しかもロープウエイのお客さんを取ってはいけないでしょうから、改良が進んでいないはず。昔のF650なら行っていたでしょうが、今はバンディット。無理はせず、麓から発着するロープウエイを利用します。(往復¥2000)

全長2594m、標高差657mを7分で結ぶ超高速ロープウエイ。
ロープウエイウエイを降りるとそこは分水嶺の県境が。
66番雲辺寺。本堂は、建て替え中なので仮のお堂でした。

 雲辺寺は、文字通り「雲の辺りにある寺」。道中も険しい山登りの続く難所の一つでしょうが、麓から頂上まで、ほんの7分だと話は別。あっという間に参拝でき、難所というイメージが沸くはずも無いのでした。

ロープウエイ麓駅前の、だんご屋さんで一服。冷えてくると熱い梅こぶ茶と、コレがウマいのだ。¥300也。

 さて、山を降りてきて、本当に穏やかな讃岐の道が続いていきます。

67番大興寺。真言と天台のお堂が共存している寺。
68番神恵院へ行ってみると「移転しました」との案内が。何だ?
看板の少し先先には、コンクリート打ちっ放しの本堂が。最近できたのでしょう。
68番と同じ境内に69番観音寺があります。
ですから、一ヶ所で二つの納経ができるのです。お代はもちろん2ヶ所分。

観音寺の裏山を登ると、有名な寛永通宝が描かれた「銭形砂絵」が見えて来ます。これを見ると一生お金に不自由しないとか・・・。「俺は見たぞ!」

 もちろんここは僕の地元の香川県、ということもあって、道を走っていても何となくほっとする安心感があります。雲辺寺以外の寺は、全く初めてなんですが、それでも昔訪れたような気にさせる雰囲気があります(心和ませる瀬戸内の風景なんですねぇ)



ちょっと一服・・・(コマーシャル)
少し手が冷たいなぁ・・・と感じて来たら、ウインターグローブの新作PG-29がベスト。すごくソフトな仕上がりで、グリップが握りやすく、レバー操作もしやすい。さらにソフトなPG-29D、鹿革モデルも用意しています。



70番本山寺。鎌倉時代に作られた国宝の本堂と五重塔が荘厳。
71番弥谷寺。山腹の岩肌に刻まれた仏像。小さなバーミヤン遺跡の様。
72番曼荼羅寺。本堂の内部には、曼荼羅が描かれているらしい。
73番出釈迦寺。急坂を登ると、弘法大師由来の奥の院があります。
74番甲山寺。善通寺にほど近い山の麓にあります。

 そして大師生誕の地、75番善通寺へ。高野山、京都の東寺と並んで、大師ゆかりのある3大寺院の一つです。さすがに、これまでの寺の規模と違って大きい・・・。善通寺市のど真ん中に広大な境内が広がっています。



 建物の規模や古さ、そしてその荘厳な感じ、働くお坊さんの数、どれをとってもこれまでの札所とはくらべものにならない圧倒的なスケール。ここは一大宗教都市なんですね。あまり立ち寄ることがなかったので、知らなかったですけど。

善通寺大師堂の地下には、戒壇巡りという地下通路が・・・。怪しそうな洞窟が100m近くも。しかも真っ暗で何も見えない。「お経を唱えて進め」と書いている。悪行のある者は、出られないらしい。¥500。

 今日の巡礼は、これでおしまい。あと残りは13か寺。次回で88番大窪寺までたどり着くことができるのでしょうか?


おまけ・・・

善通寺納経所裏に、最近よくテレビに出てくるお菓子屋が。名物は「カタパン」と呼ばれる煎餅のようなもの。買ってみるとスゴイ硬い・・・。まず噛むことは不可能。飴のように口で溶かしながら食べるのが正解か。

涅槃の道場はまだ続く



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