愛媛県 今治市

第八回 菩提の道場編 その三 二日目

 第58番、仙遊寺の宿坊は、個室で小綺麗な民宿といった感じで、温泉もあって、疲れもとれるし、同宿の遍路旅の皆さんと、食事をいただきながらの情報交換も楽しかったのでした。
 ただ、テレビが無いのと、肉(魚も動物も)は食べられないのと、朝のお勤めがあるのが、普通の宿とは違うところ・・・。

朝の6時から「お勤め」が始まります。小一時間の読経の後、住職のお説教があります。もちろん自由参加なのですが、宿坊に泊まるぐらいなんですから、泊まる人は全員参加していました。1泊2日食事付きで¥6000あれば泊まれます。

 仙遊寺を出てから、少し今治と尾道を結ぶ、「しまなみ海道」を散策。
 そういえば、四国に住んでいながら、「しまなみ・・」を走り抜けたことは一度も無し。高松から広島など西方面に行くには「しまなみ」経由だと、逆戻りが多きすぎるのが理由なのです(つまり使うに使えない・・・)。どちらかというと、島と島を結ぶ生活橋・観光橋という性格が強いのでしょう。

来島海峡大橋は、何と3連巨大吊り橋。良く作ったものですねぇ。
歩行者道とは別に原付道があるのが楽しそう。スローな旅が向いています。

 さて、再びお寺参りに戻って、次は59番国分寺。聖武天皇が841年に各国に国状不安を治めるために置いた寺の一つです(ほら・・・学校で習ったでしょう)。当たり前ですが、88カ所の寺の中に、四国だから4つあります。

国分寺の門前で、ハンカチタオルを皆さんに、お接待(配る)するタオル屋、五九楽館の徳永さん。ちょうど猛暑で汗がしたたり落ちるので、とっても助かります。今治はそうだ、タオルの町だったっけ。でも国分寺に来る人みんなに配っていたら、一体何枚いるんでしょうか。

 思い返せば、白い装束を着て旅をしていると、地元の人から有形無形ですが小さな親切をいただいてきたことになります。この世知辛い世の中だからこそ、「見返りを求めない施し」には、心温まるものがあります。小さなタオルですが、とっても嬉しかったのでした。

伊予の国分寺である59番札所、国分寺。大師の石像があり、握手することができるようになっています。願いが叶うそう。
1番飛んで61番の香園寺。本堂が中にある大聖堂は、この旅で初めて見るコンクリート建て。一カ所ぐらい近代的な建物も良いとは思いますが。
62番宝寿寺。境内には、安産観音があり、安産の神様として地元の人の信仰を集めています。
63番吉祥寺。88カ所中唯一、毘沙門天が本尊になっています。商売繁盛にご利益が・・・。

 59番国分寺を終えたところで、ガイドブックにはこう書いてありました。「車なら60番を飛ばして63番まで回ってから、60番へ・・・そして64番を回ると効率がいい」らしい。基本的には歩き遍路の順番になっているので、車の場合は道路の関係上相前後するのも無理はないとの事です。
 仰せの通り63番まで行ってから60番へ向かうのですが、横峰寺は噂通りの「愛媛の難所」。突然狂ったような山深き所に寺があります。

60番への登山道は何と有料林道。1車線ですが、舗装済み。2輪は350円。
山頂近くの駐車場から20分近く歩く参道。膝はガクガクに。
 
 61〜63番まで、ヘルメットの顎ひもを結ぶヒマも無いくらいお寺とお寺が近いのに、突然全開で走っても1時間近くかかる山登り。メリハリが有りすぎですね。そしてバイクを降りてから、駐車場から寺まで長く、とても遠く感じること・・・。(麓から歩く遍路旅ならどう感じるのでしょう。末恐ろしい。)
 山登りの道は、森林組合が料金を徴収している有料林道ですが、冬季は当然凍結してますんで、11月〜3月のバイク登山は、控えた方がいいと思います(冬季は山上まで行く専用のマイクロバスに乗った方が良いでしょう)

64番前神寺。石鎚山信仰の総本山であったりもする。皇室ともゆかりがあるそうな。
愛媛最後の65番三角寺。川之江の急斜面を登った山腹にあります。山門には大きな梵鐘が。

 そういえば、時々寺の駐車場が無くて、どこかの人が有料で門前の駐車場を経営している場合もあります。65番の三角寺もしかり。でもどこにも2輪の料金が書いて無くてどうしたものかと案じていたら、どこからともなくおばさんが現れて「早く出ていってよ、どうせ払わないんでしょ・・・」と虫の居所が悪いご様子。
 バイクで参拝する人も増えていますし、この際、二輪のための駐輪場整備と、有料ならわかりやすい料金表示を希望しますよ。えっ・・・僕が言っているのは、ここだけじゃなくて88カ所全部の事。誰しも巡礼の旅なのに、つまらないトラブルに巻き込まれたくないんだから。

伊予西条はうちぬき井戸(自噴水)のある町。あちらこちらで地下からおいしい水がわきだしています。

 これで菩提の道場である伊予の旅はおしまい。次からは、「煩悩を滅ぼし、解脱の境地に達するらしい」涅槃(ねはん)の道場の讃岐路です(自分で書いておきながらよくわかっていませんが)。冬が来る前に88番まで行ってしまいたいものです。


ホントに僕も花ひらくのでしょうか?
(63番にあった石碑)



おまけ・・・
9月8日、下関の実家に帰っている臨月の嫁から連絡が・・・。「生まれそうなんで、早く来て」と。
天気も良いので、「バイクの方が早いから・・・」なんて勝手な言い訳つけてバンディットで出発。高速用にスクリーンを大きなものに交換。写真は、瀬戸大橋。
高速の400kmを4時間で移動して、関門海峡に。これだけ高速を走っても疲れない・・・良いツーリングバイクだこと。それにしてもいいツーリング日和。「あっ忘れてた、出産に立ち会うんだった」
で実家近くの病院を訪ねると、次男が既に誕生していたのでした。長男・長女に続き、また出産に間に合わず。嫁には怒られ、トホホ。でも無事生まれたので良しとしよう・・・。

屋島から下関へ。源平合戦の跡を追う、次男誕生のツーリングなのでした。


次は涅槃の道場へ




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