革製造の工場見学(その2)

 ウエットブルーと呼ばれる、クローム鞣しを終えた革は、その後さらに様々な製造工程が加わります。
 それは例えば、「靴なら肌触りが良く弾力性があって、軽くて柔らかく・・・・」とか、「ベルトに使うので、肉厚があって表面はなるべく均一な感じで・・・」とか、用途に応じて仕様が異なるため、それぞれに応じた加工が加えられていくのです。

 グローブにする革は、更に注文も多く、「柔らかくて」「肉厚があって」「ふっくらとしていて」「色落ちや色あせが少なくて」「しっとりと高級感漂う色合い・・・」などと、かなりの無理難題(一部矛盾する要求も有り)を押しつけるのですが、これに何とか応えてくれるのが、姫路の職人の意気込みなのです(いつも恐れ入ります)。
 

ウエットブルーの状態から、シェービング(厚み調整)、水洗・クロム鞣し後の中和が行われ、上の写真のドラムで染色・加脂が行われます。下は染料や薬剤類。これらの分量具合が、各工房の腕の見せ所です。

 染色・加脂された革は、それが終わった後にドラムで水洗いをするのですが、この水洗を重ねる毎に、革の色落ちが少なくなります。革に含まれる余分な染料を落としているのです。

大型洗濯機のようなドラムで、革は何度も水洗いをするため、弊社グローブのご家庭でのメンテナンスにおいても、水洗いをすることによって革を傷めることは無いと考えています。

 水洗いの後に、乾燥や「張り」(革をしっかりと伸ばす)加工が行われます。グローブ用の革の場合は、より「柔らかい」革を求めるため、何度も「空打ち」が行われます。

 
こちらが、空打ち専門のドラム。水も何も入れずに回すことで、革の繊維がほぐれ柔らかくなります。同時に独特の革のシボ(表面模様)が出てきます。場合によっては1日近く回すことも。

 これらの工程を経て、最終的に仕上げ工程に移ります。
 表面の部分(銀と呼びます)を整えるために、平らなアイロンで押したり、時には型押し(模様)付けなどを行います。
 また、色落ち・色あせなどを少なくしたり、銀の色を微妙に調整するため、弊社グローブの場合、ラッカーを軽く塗布します。

 以上の工程を経て、計量(10cm四方のデシが単位)が行われ、私たち四国の工房に送られてくるのです。

 姫路の工房では、これら革の製造における工程が細分化しており、各工房の職人が、これまで培ってきた経験を基に、各持ち場できめ細やかな作業をしているのです。
 
 




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