2008年10月30日 担当 尾原

朝・晩の空気が、「凛」とした冷たい物に入れ替わり、秋から冬へ季節が進んでいることを感じる今日この頃。そろそろ、ウインターグローブを用意したくなる時期になりました。今年もペアスロープでは、4つのグローブを用意。その暖かさの秘密を解説します。




 グローブの暖かさというのは、中に使われる保温材の厚み、つまり保温材が保持する「動かない空気の量(デッドエア)」の多少に暖かさは比例していきます。
 実走行のテストでも、上記の理論どおり、保温材の量で暖かさが変わるという結論を得ています(※サンステートなどの熱反射による影響を加味しない場合)

写真インナーの白い部分が、デッドエアの量を決めるウレタン。単純にこれを厚くすれば暖かくなります。

 では、「グローブのパターン(つまり作り方)によって暖かさは違うのか?」。以前このような仮説を立てて、テストに励んだことがあります。

 弊社が使っているガンカットと一般的なBOX型。同じ保温材を用いたインナーなら、どれだけ違うのか・・・左右で違うグローブを作って、何度もテストしました。

テストの結果
(ただし仮説)

 何度テストをやっても、ガンカットの方が暖かい・・・という結論を導き出したのですが、これは温度センサーを使って証明したわけでもなので、あくまでも仮説。その他に加味しなければならない諸条件もありますので、言い切れるわけじゃないんですが・・・。



では、ガンカットが暖かかった理由とは?

 仮説その1
ガンカット(PG-29) BOX型(弊社試作品)

 ガンカットの方が指の全周に沿って、均一にウレタン層を保持しているのに対して、BOXの方は、矢印で示した所のように、ウレタン層が不均一で、薄くなっている所があります。こうなると外気の冷たさが早く伝わるようになります。



 仮説その2
ガンカット(PG-29) BOX型(弊社試作品)

 革は風を通さないのに対して、縫製部分は意外と風が入ってくるものです。ガンカットの縫製している部分が2ヶ所なのに対してBOXは4ヶ所。冷たい外気の侵入が、指を冷やす原因となっているのかもしれません。ただしそれより内側は、防水透湿フィルムにつつまれているので、直接外気が指を冷やすことはありません。



 防寒性と操作性を高い次元で両立させなければならない、ウインターグローブには、比較的薄手のインナーで高い保温力を保てるガンカットが向いているのかもしれません。

 さて今年のラインナップも、すべてガンカット。革素材の違い・輻射熱(放熱)を反射して熱移動を防ぐサンステートの採否こそありますが、基本的には同じ思想で作られたグローブ。お好みのモデルをお選び下さい。



PG-29
使いやすい操作性重視タイプ
PG-29D
別格の柔軟性を誇るトップモデル


PG-30
幅広く使えるバランス重視型
PG-33
保温力重視の極寒対応仕様



*BOX型よりガンカットの方が必ず暖かいグローブになるか・・・といえば、必ずしもそうではありません。これは同一インナー、同一保温材を使ったならばの話。BOX型には、設計の自由度があって、あらかじめ指を曲げるなどの工夫をすることで、保温材をいっぱい詰め込んで、さらに暖かいグローブを作ることもできます。来年にはBOXの新モデルがあったりして・・・(笑)。 





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