たった一人の職人工房

 1990年代初めの頃、弊社ペアスロープに突然やってきたのが北村である。
 当初は店舗上階の夫婦坂工房に通うが、自宅に工房を持っていることで、後にそこで縫製作業をおこなうことになる。その場所が東京都葛飾区柴又、だから“柴又工房”と名のる。

 北村は縫製歴50年(2010年現在)のベテラン。そう、ペアスロープ創業より20年以上前からミシン作業をしている。・・・その腕、、、確かである。





葛飾柴又の話。


 葛飾柴又といえば、映画“男はつらいよ”の寅さん(渥美清)がもっとも有名である。
 柴又工房からすぐの京成電鉄 柴又駅には、これから旅に出ようとする寅さんの銅像が迎えてくれる。
 では、柴又工房の前に、職人北村が柴又の街並みをご案内しましょう。


柴又駅を100メートルも歩けば、帝釈天(たいしゃくてん)の参道に出る。

川魚料理の店“川千屋(かわちや)”。創業は江戸時代の1770年代という。

正面が帝釈天(題経寺)。“寅さんまつり”が始まるようである。

帝釈天から江戸川方面に5分も歩けば、寅さん記念館がある。ここも見所。
柴又風情



参道には昔ながらの面影を残す店が軒を連ねる。左の高木屋は北村お薦めのダンゴ屋。

川千屋でウナギを食う。建物外装は昔の面影だが、店内は少々近代的。

帝釈天は幼い頃の北村の遊び場だったという。寺の随処にある彫刻は見事。

江戸川:北村の釣り場でもある。「こないだはデカイ魚が釣れた」と両手を広げるが、50cmでも数日経てば1メートルになる。釣り人とはそんな人種である。

矢切の渡し:細川たかしが歌って有名に。ちょうど江戸川の中央に渡っているところ。



ベテランの腕。

 柴又工房から生まれる主な製品は、革ジャン、革パン、そしてバッグ。それらは夫婦坂工房のように曲線有利なポストミシンを使っていないが、そこは縫製歴半世紀のベテラン、平ミシンで全てをこなす。





年季の入った道具たち。

製品によって針の太さを選ぶ。
職人の大事な道具。


ハサミは自分で研ぐのも職人の仕事。

その昔、レーシングスーツも縫っていたわけで。。。


 職人北村、たった一人の工房でこつこつと丹念に針を進める。趣味である魚釣りの話以外は口数が少ない。自身の持つ技術を自慢することなどない。その“腕”は、縫い上げた製品が代わりに語ってくれるから。。。 




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