文:三橋弘行 写真:坂上修造 取材日:2016年6月29・30日
[ モーターサイクリスト誌連載 2016年 9月号]





東京方面からなら、東北自動車道の盛岡インターチェンジを出て西に向かう。まずはその途中にある雫石の高原がお薦め。岩手山を望む雄大な景色に癒やされるだろう。
国見温泉は雫石町の西の外れにある。国道から県道を走り、秋田県との県境にある山あいの温泉宿だ。そこは初めてのことだった。ドコモのケイタイすら非通知なのが。






エメラルドグリーンの湯といえば国見温泉石塚旅館、と称されるほど、温泉ツウには名が通っている。確かにその湯の色は鮮やかだ。しかしその泉質も素晴らしいのだ。
宿の敷地内にある源泉(右上写真:宿の主人と筆者)は、各湯船まで10〜20mという距離。これは超新鮮な温泉に浸かれるということだ。もちろん加温も加水もせず、源泉100%の掛け流しである。
混浴という意味ではなく、夜の露天風呂もいい。源泉が流れ落ちる音以外になにも聞こえない湯船。目を上にやれば無数の星空。これで癒やされないのなら、よほどのヘソ曲がりであろう。
なお、各湯船の湯温は41〜43℃と熱い。筆者は苦手だ。が、初めに我慢すれど「あれまぁ・・・?」と浸かれてしまうから不思議だ。

[ 石塚旅館の湯]
含硫黄−ナトリウム−炭酸水素塩温泉
ペーハー7 中性 源泉温度49℃
源泉湧出量 198リットル/分
加温なし 加水なし 掘削自噴
溶存物質 4084mg/kg 自家源泉掛け流し
浴室:男女別内湯4 混浴露天1 女性用露天1
取材日:2016年6月29・30日





海から遠く離れた温泉地なのだから、もちろん山と川の幸。きわめて健康に良さそうな料理だ。ところで温泉玉子を大きく載せたのにはワケがある。これ、旨いっ!。ただ温泉でゆでたのではなく「ひと手間」が掛かっているのだ。ウソではない。ほんとに旨いのだから仕方がない。




石塚旅館6代目主人。少年期から宿の手伝いを始め、21歳で旅館業に。
眼孔鋭く温泉を語る表情は、ご自身の仕事に誇りを持ち、そして情熱を感じられる。このような主人がおられてこそ、温泉宿が継承されるのである。
なお、取材時以外での表情は緩み、穏やかに話すお人柄である。念の為。




サイトでこの宿の温泉をお伝えできたのは、エメラルドグリーンという湯の色だけかもしれない。その香り、そして感触まで体感するには、やはり浸かりに行くしかない。その価値、おおいにあり。ただし11月中旬から翌年5月初め頃まで積雪休業。営業期間は約半年である。

料金はひとり9330〜1万950円 (旅館部2名1室諸税込)。繁忙期以外は1名宿泊可。全19室。日帰り入浴:500円 10:00〜16:00

国見温泉 石塚旅館 公式HP >>

次回、「にごり湯編」の4湯目は・・・

 秋田県 
大屋敷の黄金湯 !


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